こんなタイプの社員には要注意 食品会社とコンプライアンス

こんなタイプの社員には要注意 食品会社とコンプライアンス

食品業界だけではなく、最近は様々な業界でコンプライアンスが厳しく叫ばれるようになってきました。しかしやはり口に入れる食品に対する消費者の目は厳しく、他の業界より正直に経済活動をする事が求められているように感じます。中でも品質保証はコンプライアンスとかかわりが深い部署でもありますが、なかなか社内で理解されずにストレスがたまる部署でもあります。

昔はゆるかった

私が新卒で入社するはるか前の話を聞くと、事実かどうかわかりませんがいろんなことがあったようです。関西人の話なので尾ひれを付けて面白おかしくネタにしている可能性が多分にありますが、こんな話をしてくれました。

若い人はご存じないでしょうが、昔は賞味期限ではなく製造日を印字していたのです。製造日を先付けした真空パックの商品が出荷冷蔵庫にたくさんありました。内部告発で保健所が抜き打ち査察に来ました。するとトランシーバーで「そっち行ったからリフトで在庫をこっちに移動させろ」とやりとりしていたとか・・・

本当なのか作り話なのかわかりませんが、昭和の時代はいろいろあったんだろうなぁと想像をかき立てられるような話でした。

内部告発から得た教訓

他社がどれくらい内部告発があるのか確認のしようがないのですが、前職は内部告発がよくある会社だったようです。メディアに不祥事が載ると、営業は流通にお詫び行脚に飛び回ることになります。

痛い経験が繰り返され、「隠しても必ず漏れる」「それは内側から漏れる」という教訓を得ました。「なんかあったらすぐラインを止めて確認したらええねんで、損はするけど怪しいものは回収するから。だから隠さず、躊躇せず情報を上げて欲しい。なるべく早い段階で止めた方が迷惑を掛ける範囲が狭く抑えることが出来る。」と経営者が言ってくれるようになりました。これを受けて製造にかかわる社員の方も、「疑いを持たれるようなことはしない」「失敗(過失)がわかったら早い段階で報告する」ように変わっていったように思います。

経営者が何度も何度も口を酸っぱくしてご正道を唱えくれると、従業員も本来正しいと自身で信じていることを安心して行動に移せるようになります。ここで「経費が~」とか言って、安全より銭勘定を優先させていたら社内の雰囲気は変えられなかったことでしょう。

コンプライアンスと性格タイプ

どんな性格タイプでも健全度が高ければ問題は起こしにくくなり、健全度のレベルが下がれば様々なトラブルを起こしまくります。しかしエニアグラムのタイプによっては、コンプライアンス違反をやらかしやすそうなタイプもいます。

タイプ7

タイプ7ハーモニクス理論の楽観的タイプに分類されます。楽しいことを追い求め、楽しいことで頭の中をいっぱいにしてネガティブなことが入ってこないようにして生きています。「マイナス面を視界に入れたくない」のと「なんとかなる」と思っているので、問題にまわりが気づいた時にはかなり大きくなっていたりします。本人も隠しているつもりはないのでしょうが、どうしてもプラスの部分にばかり視野が行ってしまうので、悪い報告は上がりにくいタイプです。

すごく美味しい通販商品を開発したタイプ7の方がいました。製造委託先の製造計画にねじ込んだものの、完成したら興味が薄れたのか商業冷凍庫に入れたまま賞味期限切れになっていました。計画段階は楽しいので張り切るのですが、実行段階になると次のものに興味が移ってしまい、ほったらかしになるのもタイプ7の特徴です。

海外の製造委託先で手の込んだ商品を開発した方もタイプ7でした。冷凍の賞味期限を短くしすぎ、期限までにあまり売れずに大事になったこともありました。

タイプ7は同じことを同じように繰り返すのは大嫌いなので、製造に従事している人は少ないように感じます。製造ラインにいるとすれば、忙しく動き回っていて落ち着きがない感じの人になっています。

ルーチン業務ではない部門にいることが多いように思います。明るくコミュニケーション力が高いので、メーカーでは営業などのほうが向いているでしょうね。

明るい性格がプラスに働くと、落ち込んでいるチームの雰囲気を一瞬で明るくして、プラスの方向に行動を促したりします。みなさまもタイプ7の明るさに救われたことが何度もあるはずです。

タイプ3

タイプ3は周りから賞賛を受けることが最重要課題であり、手っ取り早く成果を出そうとします。ある部署の課長のこんな出来事を目の当たりにし、「成果のためには手段を選ばないタイプ3らしい発言だなぁ」と感心したことがあります。

下請法は違反してもばれない

「先日の公取の方に来ていただいた下請法の勉強会で、○○課が業務の中でグレーな部分があったと思うですが・・・」と言ったところ「下請法の内容は前からわかっている。公取が納入業者にアンケートを送って、違反があると思ったら納入業者が違反ありに○を付けるんや。納入業者はこっちが無理を言っていても納得の上で取引しているんやから、納入業者が『下請法違反の行為を受けている』なんてアンケートに書くことはない。だからたとえ下請法に違反しても公取にばれることはない。そやから下請法なんか気にせんでええんや。」とのことでした。私も周りの人たちも「みんなが聞いている前でそんなことぶっちゃけてええんか? 経営陣があれほどコンプライアンスって口を酸っぱく言っているのに・・・」とあっけにとられてしまいました。

その場にはその課長の上司である部長も居合わせていましたが、これに対してその場で何も言いませんでした。タイプ3は上の意向には敏感なので、部長が何も言わないこと、そして部長が何も言わなければ周りも何も言えないことも計算した上での発言だったのでしょう。

※ その後、サービス残業を認めないまともな人がその部署の課長になったので、現在は改善されていると思います。

評価者が何を以て評価するか

タイプ3は「まわりに賞賛されるかどうか」が行動の判断基準です。まわりの、特に強い影響力を持っている人の意向(上記の場合は上司である部長)をくみ取り、それを基準に行動します。

タイプ3の手段を選ばないという特徴と上の意向(この場合は部長の黙認)が組み合わさると、コンプライアンスなど自分の成績になんの役にも立たない無駄なものと見なし、組織のセキュリティーホールと化します。

しかしタイプ3は上昇志向で出世欲も旺盛です。実績も盛りまくりでアピールもうまいので出世しやすい傾向にもあります。タイプ3を職場リーダーにするなら、成果・結果も大切だがプロセスも重要な評価ポイントであることを理解させ、目を配っておかなければなりません。目が届かない職場に健全度が通常、若しくはそれ以下のレベルのタイプ3を配置すると、コンプライアンス面でのリスクが高まります。

他のタイプ

品証関連でやらかしそうなのはこのあたりですが、コンプライアンスは他の分野でも守らなければなりません。

たとえばタイプ8は普通にしていても威圧感があるのでパワハラと言われやすかったりするでしょう。タイプ1も職人気質で厳しいのでパワハラっぽく受け取られることもあります。どちらも相手を成長させようとするあまり一生懸命にやり過ぎて、相手の心が折れてしまうことが他のタイプより起きやすいタイプです。

どのタイプも「こうすることできっと良くなる」と思ってやったことが「あだ」になることがあります。自己理解を進め、自分の癖を知っておくことが転ばぬ先の杖となります。自己理解が進めば他者理解も進んでいきます。自分や他者の健全度が下がりつつあるサインに気づけるようになるので、自己理解はコンプライアンスにつながっているのではないかと思うのです。特に評価する側、人事権を持っているくらい地位が高い方は、自己理解を進めていただけるとありがたいです。