食品への毛髪混入を激減させた江川永のプロフィール

元魚肉練り製品メーカー勤務

約9年間の品質保証部時代は品質保証の仕組み作りやコールセンターを経験。ISO22000の維持更新やマイクロソフト アクセスによるデータベース化、エクセル マクロによる自動化などに取り組む。日付確認表をマクロで自動化したことにより、日付間違いのクレームがピタリと止まる。原料クレームのデータベースを作成したことにより見える化が進み、原料バイヤーの数値目標に採用される。2011年には食品表示検定上級を取得。

2016年より開発部として製造委託先と一緒に取り組んだクレーム削減の取り組みでは前年比約46%の大幅な実績を上げる。中でも毛髪混入クレームは前年比約21%の削減を達成。この事例を各地の学校給食調理員の方や業界団体など全国で講演を実施している。

セミナー受講企業からは年間50件以上あった毛髪混入クレームが止まったとのうれしい報告も受ける。月刊食品工場長、月刊HACCP、朝日新聞、などに次々と取材・掲載を果たす。

1974年生まれ、島根大学農学部卒

中国留学(浙江農業大学 現浙江大学)時代に初めて台湾を訪れて以来、台湾好きで頻繁に台湾を訪問している。カウンセリング的アプローチを習得するために、2018年には国家資格キャリアコンサルタントを取得。9つのタイプの性格に分類して捉えるエニアグラムにも通じており、組織の人員構成やクライアントの理解にも務めている。

【講演実績】

2018年4月、一般社団法人 神戸食品微生物科学協会主催「ワンコインセミナー」で、食品メーカーの品質保証や食品コンサル企業の担当者様(約30人)に向けて講師として講演。

同年7月、高槻市、明石市それぞれの給食調理員様、栄養教諭様、学校栄養職員様(合計約450人)に講演。

同年9月、10月、自社無料セミナーで食品メーカーや外食産業、食品関連団体などの品質保証担当者様、製造担当者様(36社)に講演。

同年10月、全国かまぼこ連合会主催「第55回水産煉製品特別研究会」にて同業他社の経営者様、品質保証担当者様など(約70人)に講演。

その後も、テックデザイン様(2018年11月) サイエンスフォーラム様(18年11月)、政令指定都市教育委員会様(18年12月)、一般社団法人日本能率協会様(19年3月)、公益社団法人日本食品衛生協会様(19年5月)など、全国各地から依頼を受けて講演を行う。

【著書】

実践版 使える HACCP

【メディア掲載】

月刊食品工場長 2018年4月号

月刊HACCP 2018年6月号

朝日新聞 2018年9月1日朝刊

みなと新聞 2018年10月19日

水産煉製品新聞 2018年10月25日

日本食糧新聞 2018年10月26日

月刊低温流通 2018年12月号

【この仕事への思い】

私は生産部門から入社8年後に品質保証部に異動しました。

当時はルールがあっても、建前のルールでした。実際の製造現場では効率優先でルールは守られておらず、先輩社員は「そんなもん大丈夫や」と言って消費者が見たらびっくりするようなことも平気でしている状況でした。

しかし流通様や保健所などの行政機関が監査に来てくださり、指摘を受けるとやや改善されるのです。なぜそうしないといけないのかはよくわからないまま、とにかく決まったからこうしろと先輩社員から言われるようになりました。

品質保証部に異動した時は指摘が仕事だと思っていました。毎朝出勤すると記録表をチェックし、事細かに指摘をしました。工場の点検も事細かに指摘をしました。

その結果、少しずつ改善は見られたもののかなり嫌われていたようです。嫌われるのも品質保証の仕事の内と思っていたので、その時はあまり気にもなりませんでした。元々、あら探しは得意でしたので、指摘をすることが会社をよくすることだと信じていました。

その一方でエクセルマクロなどで業務を自動化した所、製造現場からも重宝がられることもありました。上司も放任主義で、自由な雰囲気の職場でしたのでのびのび仕事をしていたと思います。

しかしその後、部署異動になりました。その部署は打って変わって非常に窮屈でした。コストダウンのノルマを達成しろ、下げられるまで残業しろ、こちらの要求をのむまで業者と商談しろ・・・ 

残業したところで、何度も商談したところで 、ノルマ達成はムリです。相場もあるし、原材料の一括表示が変わるような原料変更はできません。上に良い報告をするために、職場会議で「足りん分、どうすんねん!」とどやす上司に疲れてしまい、エニアグラムやコーチングのセミナーに通うようになりました。

そのセミナーでは、人類共通の普遍的価値観と思っていたことが人によって違うと言うことを知りました。今まで信じてきた、少しでもダメなところは指摘して是正するのが良いことだ、正しいことをすることは良いことだ、ルール破りは悪いことだ、ということが人によってはそれほど重要ではないと知り大変衝撃を受けました。

そして私がやっていた指摘は、「私はこれだけ繊細だから気づくことができるし、指摘できるのだ。君たちでは気づくことができないだろう?」的なところがあったことにも遅ればせながら気づきました。今から思えばその時の上司は鏡に映った自分自身だったのかもしれません。

その後、人事異動があり製造委託先のクレーム削減を担当することになりました。これは今までの指摘一辺倒以外のアプローチを試す良い機会だと思いました。

アラ探しは得意なので、いろんなところに目が行きます。でも喉元まで上がってきた指摘はいったん横に置いておいて、「どう思います?」「どんなところが気になっています?」と相手の思いを先に語ってもらうようにしました。そうしたところ今まで高止まりしていて、社内のだれも削減できなかった製造委託品のクレーム発生率が半減したのです。

クレームはゼロにできないと諦めていませんか? 品質保証担当者だけで対策を考えていませんか? 本当の原因を原因工程の担当者と一緒に考えていけば、と言うより製造工程担当者の思いを語ってもらうサポートをすることで、根本原因の解決の糸口が必ずや見えてくると思うのです。


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