必要な時にすぐ取り出せますか? HACCPの記録保管方法
- 2021.11.06
- 品質保証
HACCPやらISOで、食品工場では記録しなければいけないことが増える一方です。システムを入れて電子データで記録するようになっている工場もありますが、紙で運用しているところがほとんどだと思います。その記録を保管するのも工夫が必要になってきます。いざある日のあるラインの製造記録を見ようと思っても、どこにあるのか時間をかけて倉庫をひっくり返さないといけないようでは困ったものです。
HACCPの記録保管期間
一般的には賞味期限の2倍が目安です。食品によっては消費期間が数日だったり、賞味期間であっても1週間ほどしかないものもあります。このように期間が短い食品の場合は2倍にこだわらず、保管期間を1年間と設定しているところが多いようです。
各記録類の保管期間一覧表を作るのも良いのですが、一覧表のメンテを忘れて改善課題に挙げられてしまうことがあります。ファイリングしているファイルの見返し (表表紙の裏側)などにテプラで保管期間を表示しておいたほうが便利です。
食品衛生法
○食品衛生法第1条の3第2項の規定に基づく食品等事業者の記録の作成及び保存について
第3 作成・保存に係る基本的事項
3 記録の保存期間
記録の保存期間は、当該業者が取扱う食品等の流通実態(消費期限又は賞味期限)に応じて合理的な期間を設定することを基本とする。
なお、多種多様な食品を仕入、出荷、販売等する事業者であって流通実態に応じた保存期間の設定が困難な場合については、その区分毎に次の期間を参考として設定する。
・生産段階:販売後1~3年間
・製造、加工段階:販売後1~3年間
・流通段階:販売後1~3年間
・販売段階:販売後1~3ヶ月
大量調理施設衛生管理マニュアル
Ⅱ 重要管理事項
1.原材料の受入れ・下処理段階における管理
(1) 原材料については、品名、仕入元の名称及び所在地、生産者(製造又は加工者を含む。)の名称及び所在地、ロットが確認可能な情報(年月日表示又はロット番号)並びに仕入れ年月日を記録し、1年間保管すること。
Ⅲ 衛生管理体制
1.衛生管理体制の確立
(3) 責任者は、衛生管理者に別紙点検表に基づく点検作業を行わせるとともに、そのつど点検結果を報告させ、適切に点検が行われたことを確認すること。点検結果については、1年間保管すること。
必要な数のファイルを用意する
綴りヒモで束ねているだけだったり、ダンボールにガサ~ッと入れて保管しているところもありますが、あまりお勧めできません。いざというとき探すのに苦労しますし、保管期間が過ぎても廃棄されず、倉庫の肥やしになっているのがだいたいのパターンです。
上記で保管期間を決めました。ファイル1冊当たりに綴じることが出来る記録の量を考慮し、必要な数のファイルを用意します。同じメーカーの同じ品番のファイルで揃えると、保管棚が整理されて見えます。
保管期間を1年間と設定した記録(例えば金属検出器管理表)を1ヶ月分/冊で綴じていくとします。この場合は12冊 + 1冊 = 13冊のファイルを用意します。この+1冊がポイントです。
月が変わったら・・・
上記の例で行くと、2022年1月31日の記録を綴じる日があります。この時点で2022年1月の記録のファイリングは完了です。ここで前年同月の2021年1月の記録を廃棄します。
そして中身を廃棄した2021年1月のファイルに、2022年2月の記録を綴じていきます。
このように「押しださないと次の記録がファイリングできない状況」にすることで、古い記録が倉庫の肥やしになることを防ぎ、自動的に保管期間が守られるようにします。
ファイリング間違い
このようにファイリングしていたのですが、「該当フロアの該当製造日に綴じてあるはずの記録がない!」と言うことがありました。例えば加熱中心温度を確認したいのに加熱温度管理表のファイルの中には綴じられておらず、散々探していたら金属検出器管理表のファイルに加熱温度管理表が紛れていたとか良くありました。
クレームの調査報告書を書かないといけないときや、特に流通の監査、認証規格の定期審査などのときは時間との勝負ですから困りました。そこで辞書のように右端にインデックスを入れました。
それでもいい加減なファイリングする人はいましたが、違う記録が紛れていないかは一目でわかるようになりました。ご参考までに。