食品の新規製造委託先のあまい監査
自社製造品だけではなく製造委託品も販売していました。製造委託品は作れる設備がある食品工場で、コストをなるべく抑えたいところです。配合でコストを下げることもやるのですが、更に利益を追求すると加工賃が安い食品工場を探すことになります。しかし安い加工賃で製造を請け負っている工場は、もうちょっと頑張って欲しいレベルだったりします。
品証による監査
開発担当者が製造委託先候補を選定したら、品証に製造委託先候補の監査を依頼します。しかしこの時、品証の「誰が」監査に行くのかが開発にとっては重要です。開発で人気があるのはゆる~く通してくれる品証部員です。アラ探しが大好きな私は、品証時代は不人気で開発から監査のお呼びがかかることはありませんでした。
大人気の人
引っ張りだこだったのはエニアグラムのタイプ9の人でした。その人は毎回のように指名がかかり、開発御用達になっていました。
タイプ9は問題と向き合った瞬間心がざわざわするので「これくらいたいしたことない」と問題を矮小化して認識することで心の平安を保ちます。また、相手とつながりが切れることを避けるので、指摘や指導もタイプ9にとっては出来たらしたくないことです。
なので品証のタイプ9が行くところはほぼ100%の確率で取引可の判定が出ます。そもそもぼんやりざっくりとしか見ていません。取引前監査の報告書もぼんやりざっくりとした書き方で、報告書を見ても工場のレベルがつかめません。実際に訪問してみて初めて「なんでこんなところに取引可を出せるんや?」と感じる衝撃的な製造委託先もありました。
取引が始まると
品証のお墨付きを得たら取引が始まりますが、始まったらクレームがよく返ってくる製造委託先もあります。取引可の判定を出した人が責任を持って、その製造委託先のアフターケアもしてくれれば良いのですがそういう仕組みにはなっていませんでした。
こういうこともあり「開発が製造委託先のクレーム発生率に責任を持て」という組織変更を会社が行ったのだと思います。こうやって開発も動かざるを得なくなり、ようやく会社が目論んだとおり製造委託先の改善が進んでいったのでした。でも製造委託先を選ぶ時点でふるいにかけたほうがきっと良いでしょうね。
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