賞味期間と対策の時期

賞味期間と対策の時期

賞味期間の違いによって、対策のタイミングが変わるのではないかと思っています。

商品の賞味期間の違い

22年間勤めた食品メーカーの自社製造品は主に日配品でした。毎日製造して毎日出荷しています。チルドで流通させており、賞味期限も1週間くらいです。

一方、製造委託品はほとんどが冷凍であり、出荷の際にチルドへと温度帯変更して出荷するものが多かったです。そして秋冬にのみ販売する商品が多く、春夏期は販売を休止している(=委託製造も休止している)タイプの商品が多かったです。

自社製造品のクレーム対策の感覚

自社製造品も半年ごとの季節商品や歳時商品はあるものの、配合や形状、内容量などが変わるだけで、作っている工程は同じでした。毎日複数の種類の商品を製造し毎日出荷、市場の在庫も1週間程度で回転するので、対策をすれば割と早めに効果が見えてくる部分がありました。

効果がある対策かどうかが判断しやすく、もしその対策がダメなら次の手が打ちやすい環境です。

一方、製造委託品は冷凍品を製造しています。製造委託先から毎日出荷するわけではないので、1日1種類をドカっと生産します。生産した商品は冷凍してまとめて冷凍倉庫に預けます。そして注文に応じて必要な分だけ冷凍倉庫から出庫し、出荷しています。なのでお申し出が来た時にはすでに数ヶ月先までの在庫ができあがっているのが普通です。対策を立てたところで対策後の商品が市場に流通するのは数ヶ月先になることもしばしばありました。

また半年間しか販売(=製造委託)しない商品が多く、委託品の製造休止中、製造委託先では別の会社から委託された商品を製造しています。 苦情はその年の委託製造開始時に製造したロットに毎年集中していました。

製造委託品は自社製品に比べ苦情発生率が4~5倍で推移しており、長年苦情発生率が高止まりしていました。この高止まりの原因の一つが、自社製造品と同じ感覚で対策をしていたことと関係があるのかもしれません。

製造サイクルが長い商品のクレーム対策

冷凍品などの賞味期限が長く製造サイクルが長い商品は、「もう今シーズンは製造することないから、来シーズン始まるまでに対策しておきますね~」という感じであまりしっかり対策に身が入っていないこともあったと思われます。

こういう場合は時間がたっぷりある利点を活かして、じっくり対策を立てました。委託製造がない期間に委託先の工場訪問を繰り返し、対策の進み具合を確認していました。

製造サイクルが長いとクレーム対策を立てた次の日に製造が無いことがあります。自社製造の毎日同じものを製造する日配の感覚で、その場でパパッと対策を立ててしまっても、次の製造のタイミングは大分先になることがあります。このためそのうち全体に連絡しようと思っていて忘れてしまい、新たに立てた対策が連絡、周知されていなかったり、対策を立てた直後に聞いていたものの忘れてしまっていて前のやり方でやっていたりしていたのかもしれません。

製造休止期間がある商品のクレーム対策

その年の製造再開時にクレームが集中することから、クレームが出る都度、来シーズン開始時にチェックすべき項目一覧を作成し追加してもらっていました。

製造再開の1ヶ月前あたりに作業者に対してチェック一覧を元に、工場責任者から作業者に対して作業方法の確認をやってもらいました。

半年前の作業ルールはあやふやになっていることが多く、確認することで「あぁそうやったなぁ。この作業の時はそんなルールもあったよなぁ。」と思い出すことも多いと思われます。確認をしないで製造再開してしまうとクレームが出てから「そういえば昨シーズンはこうしていたんやったかいな?」と思い出し、製造再開からしばらくするとクレームが落ち着いてくるという現象が起きていたものと思われます。

いろいろな工場を見て、その工場の感覚に合った対策の立て方をしないとなかなかうまくいかないんだろうなぁと思います。