学校給食のパンに黒カビ

学校給食のパンに黒カビ

給食のパンにカビが生えていたとネットニュースに載っていました。

コッペパンに黒カビのようなものが付着していた

6月11日の給食で出たコッペパンに、黒カビのようなものが付着しているのが60個見つかったとのことです。配膳の時に「パンになんか黒いのん付いてる」と見つけて、「あ~ こっちもやん」と他のパンにも黒いものが付いているので事が大きくなったのだろうと思います。

カビの繁殖スピード

カビはどこにでもいます。しかしカビは細菌に比べ繁殖スピードは遅いのです。肉眼で確認できる大きさになるには繁殖条件が整っていてもそれなりに時間がかかります。寒天培地でも25℃で4日培養してから判定します。まぁ初発が多ければ、4日待たなくても目に見えるまで成長しますけどね・・・3Mの迅速ペトリでも2日かかります。

パンはD-0納品では?

普通、パンは作ったその日に納品される食品だと思っていました。夜明け前から仕込んで発酵させて、明け方に焼いて午前中に納品といったものだと思っていました。

D-0でなければ少なくともD-1納品(前の日に焼いて包装し、翌日納品)のはずです。ならばカビが目に見えるまで成長できるだけの時間がなさそうですが、なぜ目に見えるような大きさの黒カビが付着していたのか疑問です。

黒い部分が黒カビだとしたら?

お申し出の黒い部分が黒カビだと特定した根拠が記事からは読み取れないので、本当に黒カビだったのかわかりません。意外とオーブンに貯まっていた焦げカスが付着してしまったものかもしれません。

黒い部分が焦げカスなどではなく黒カビだったと仮定したら、原因はこういったあたりが推定されるでしょうか。工場のラインも見ていないあくまで個人的な想像ですので、当たっているか当たっていないかはわかりません。

こねた後、焼く前の生地を何日も置いている?

「カビ生えてるけど、新しい生地とこねたらわからんやろ」という人もおそらくいないでしょうし、イーストが入っているので、長期間保管したらカビの問題より過発酵が問題になりそうです。冷蔵で何日も置きっぱなしにするにしても、毎日出荷するものでしょうから、保管スペースが手狭になりそうです。

学校給食用だから特殊な配合だったため、スーパーなどには出荷できなかったのかもしれません。前週の分であまりが出て、廃棄するのがもったいないから翌週まで冷蔵で置いておいたとかあるのでしょうか? しかし余るとわかるのは、焼いた後にわかるパターンが多いようにも思います。そもそも給食なら数量は毎回決まっていると思うので、余らなそうですが・・・

焼く前にカビが目に見える大きさに繁殖して、焼いてカビは死んでいるけど見た目で黒いカビが確認できるままだった、というのは可能性としては低いかもしれません。

焼いてから何日も経ったものが納品された?

記事には「▽包装袋に製造年月日を印字 ▽製造、出荷、納品、廃棄に至るまでの正確な個数管理」とありますから、学校給食側もこのあたりを疑っているようですね。

出荷調整用で置いておいたのか、整理整頓ができておらず古いのが混ざってしまったのか、廃棄する前の一時保管品を出荷担当者が間違えて出荷してしまったのか、原因はいろいろ考えられそうです。またそれが起きた場所も記事を見る限りメーカーなのか、配送業者なのか、学校なのかも結局よくわからなかったようですね。

もし出荷調整用で置いておくとしたら冷凍するとかそれなりに温度管理するとは思いますが、パンのような常温品を扱っているところに広々とした冷凍スペースがあるのでしょうか? カビが生えるような期間メーカーが常温でパンを置いていたのが原因だとしたら、行政としてはメーカーを変えるでしょうし、故意ではなく過失がなにかあって起こったことなのかもしれません。

ただ記事では「正確な個数管理」が対策として上がっていることから、今までは記録で追えないような結構いい加減な管理をしていたイメージも受けます。結局何が原因だったのか気になるところです。

検査を増やせば防げる問題?

記事には「▽パンを焼いた後の冷却レーンの拭き取り検査をこれまでの月1回から週1回に増やす」ともあります。加熱後の二次汚染だったと疑っているのでしょう。

今まで月1回拭き取り検査をやってきているのであれば、汚れやすいところはもうすでに把握できているはずです。その汚れやすい箇所をどう管理するか、ハードを変える、または洗い方を変えるなどを対策に据えないと、拭き取り検査の頻度を増やしたところで対策にはならないように感じます。

検査は想定したとおりに製造工程がうまく回っているかの検証です。まずは今までやってきた月1回の拭き取り検査で、カビがどこから検出されていたのかを調べ、それを元に対策を組むべきでしょう。

というか今まで拭き取りはやっていたけれども、一般生菌数と大腸菌群だけ検査していてカビ酵母の培地には塗っていなかった。つまりカビのデータは持っていない。だから週1でカビの検査を始めることにしたということかもしれません。

記録で自社を守る

「賞味期限切れの商品が納められた!」とお店からクレームをいただくことがあります。品出しの時ではなく、消費者が商品棚を見て気づき、お店の方もそこで気づいたそうです。

日配品の工場だと注文数は確定ではなく予想して製造していますから、出荷できなかった余分は必ず出ます。出荷期限を過ぎたものは毎日廃棄していますので、というか廃棄しないと新たに作った商品の置き場がなくなりますのでどんどん廃棄せざるを得ません。よってそもそも工場や配送センターに賞味期限切れの商品が残っているわけがないのです。

何時に何個袋詰めと箱詰めをして、何箱が出荷場に降りてきて、どこに何箱出荷して、何箱余って廃棄のしたか、普通の食品工場ならロット記号がわかればすべて記録で追えます。やはり記録は自社に過失がないことを証明するためにとても大切なものです。トラブルは降りかかってくるものです。向こうからトラブルがやってきても、きちんと証明できるように日々記録を付けておくことが肝心です。