包材間違いで回収

包材間違いで回収

包材を間違いはちょいちょい発生してしまいます。昔は、納品先に登録されている商品とバーコードが違うのでレジが通らず、流通様に面倒をかけると言うことでとても嫌われる商品事故でした。

しかし現在では、少し違った意味で流通様から嫌われる商品事故になりました。包材を間違えると、アレルギー表示が中身と合っていないので、「健康被害が出るかもしれない」という観点から回収されることが当たり前になってきたためです。

リコールプラスでもよく回収しているパターン

シリーズもののアイテムは包材のデザインもよく似ています。商品名をよく確認せず包材の色合いや、商品名の一部だけを見て「きっとあの商品だ」と思い込んで包装機にセットしてしまうことで起きるのだと思います。一旦思い込んでしまうと、もうそうとしか見えなくなってしまいますからね。

他にも、こんな時に包材の取り違いが起きやすいように思います。

  • 包材を使い切って新たに同じ商品の包材を持ってきて機械にセットしたときに間違えて別のアイテムの包材をセットしてしまった。
  • ラベル発行機に旧配合のデータが残っていたため、新配合ではなく旧配合で発行してしまった。
  • ラベル発行機を入れ替えたとき、バックアップしていた直近のデータではなく、古いバックアップデータを入れてしまった。そのためアレルゲン表示が旧配合のものとなっていた。
  • 手作業で1パックだけ貼り直そうとして発行したラベルが別アイテムのラベルだった。
  • 出荷時間ギリギリで追加注文が入り、急遽作った商品の表示を間違えた。

焦ってショートカットした結果の商品事故

どこの食品工場でも日付確認表などで表示の確認をするルールがあると思います。しかし急いでいるときは一刻も早く商品を用意するために確認手順を省略してしまい、結果的に事故を引き起こすことがあります。

こういう場合は後で記録を作るということが往々にして起こります。あとから記録を作ると「正しい」「こうあるべき」に合わせて記録が作られ、現状が隠されてしまうことがあります。これではダブルチェックをしても歯止めになりません。

クレームが来て記録表で確認してみると、記録上は問題がないのに「なんでやろ?」という状態になります。こうなったら記録の信憑性がなくなってしまいます。

記録とはその場、その時にありのままを記すものです。私もきれいに整った記録にはかなり泣かされてきましたが、正論を言い続けることで工場の側も徐々に変わっていきました。みなさまも諦めずに品証として正しいことを言い続けてください。

賞味期限に意識が集中しており、商品名はあまり意識していない。

商品名は見たらわかるということでチェック項目にしていないところもあると思います。しかし商品名が間違っていると大事になります。

特にシリーズもののアイテムはデザインが似ているので間違いやすくなります。賞味期限だけではなく、商品名もチェックするようにしましょう。

チェックじゃなく照合する

ただ単にチェックするだけではなく、照合することがポイントです。記録表に書いてある商品名と包材の商品名、記録表に印字されている賞味期限と包材の賞味期限をそれぞれ照合していきます。

具体的には照合元と包材に線を引いたり、丸で囲んだりしながら照合します。ライン担当者のチェックの形やペンの色と、ダブルチェックの点検者のチェックの形とペンの色も決めておくと良いでしょう。

✓や○で印を付けるのではなく、商品名だけ、賞味期限だけを包材から切り取って、日付確認表に貼っているところでは、照合元から商品名と賞味期限に線を引っ張って紐付けするように照合している工場もあります。

最初と最後を採取する

1枚だけ必要な場合も日付確認表に貼って確認させるよう、厳格にルールを守らせます。例外を許すとどんどん例外が広がっていくので、ベテランがやろうとも、包装する量が少なかろうと必ずルールを守らせます。もちろん、自分自身が包装作業を行う場合もルールを遵守します。

たった1枚でも最初と最後の1枚を採取します。合計3枚必要になってしまい、コスト的にはもったいないと思えてしまうかもしれませんが、回収することを考えれば安いものです。

最初の1枚だけ採取しているところもありますが、途中で変わっていないという証明が難しくなります。最初と最後、もし途中で包材を補充したなら包材を交換した最初(とできれば交換直前の最後)を採取して日付確認表に貼り、商品名と賞味期限を照合します。

インクリボンが付いている印字機であれば、日付確認表と一緒にインクリボンも保管しておくと良いでしょう。印字のズレやリボンのヨレなどによる印字不良があれば後からたどることができます。

間違いを見つけたら

ダブルチェックの時に気づくこともありますが、ライン担当者が作業開始前や作業中の段階で気づくこともあります。ライン担当者が気づいた場合すぐにその場で修正ができますので、「あ~ 包装始める前に気づいて良かった」と言って日付確認表を作り直してしまう場合があります。間違いに気づいた日付確認表も大切な記録なので、処置を書き込んでもらって責任者のチェックを受けるようにしたいものです。

ダブルチェックに不向きな人

エニアグラムで言うタイプ9の人はダブルチェックに向いていません。タイプ9はすべてが正しいと受け止めるので、間違いに気づくのがとても苦手なのです。テスト問題でも「次の中から間違っているものを選びなさい」という問題は、どれも正しく見えてしまうのでタイプ9は苦手としていたはずです。

タイプ9のダブルチェックは節穴です。他のタイプなら普通にこなせることですが、タイプ9はどんなに頑張っても抜けが出てしまいます。それは怠けているからでも、集中力が足りないからでも、意志の力が弱いからでもなく、そういう人なのです。だからタイプ9はダブルチェックから外し、タイプ1タイプ4タイプ6あたりに任せてしまいましょう。苦手を克服させて平均的な人材を作るより、得意な部分を伸ばしてチーム全体の力を伸ばすことを考えましょう。

その代わり、すべてが正しいと受け止めることができるタイプ9は、調整能力に優れています。この人の言うことなら聞いてあげようかなと周りに思わせてしまう人柄を備えています。相手に合わせるのも得意ですし、話も聞き上手です。受け入れているわけではありませんが、否定せずにじっくり受け止めてくれますので話しやすい印象を受けます。タイプ9のほんわかした印象で、なんだか知らない間に周りがまとまる人格者の一面を持っています。

タイプ9は、苦手とするダブルチェック以外の様々な面でプラスの能力を発揮できますので、タイプ9の得意な面を伸ばす方向に持って行った方が得策ですよ。