年末の蒲鉾はぼったくり価格?

年末の蒲鉾はぼったくり価格?

「年末になると蒲鉾が倍以上に値上がりする」「正月イベントのぼったくり」というウワサがあります。実際、普段は見かけない値段が高い蒲鉾がスーパーに並んでいます。

どれくらい高いのか

普段は100円程度の蒲鉾が年末には398円くらいから高い物は1000円超になります。例えば↓の蒲鉾は8倍以上の値段になっています。

888円108円

何が違うのか?

大きさが違う

画像を見るとわかると思いますがそもそも大きさが違います。正月用蒲鉾は普段の蒲鉾と比べ、約3倍の重量になっています。なので3倍くらいの値段になっていても納得できますが、8倍はやっぱりぼったくりのように見えてしまいますね。

230g80g

大豆たんぱくで水増し

水を入れれば入れるほど1g当たりの原価は下がっていきます。ではどうやったら水を増やせるかというと、まずは大豆たんぱくが挙げられます。大豆たんぱくは水を吸って豆腐やプリンのような食感のゲルを作ります。

大豆たんぱくが入ると食感も変わります。大豆たんぱくが入っている蒲鉾はすこし柔らかい弾力になります。逆に大豆たんぱくが入っていない蒲鉾は魚肉の弾力が強くなります。ゴリゴリとした強い弾力の蒲鉾になります。

正月用の高い蒲鉾は普段の蒲鉾と弾力が違うことにお気付きでしょうか。みなさまはどちらの蒲鉾の弾力がお好きですか?

大豆たんぱく なし大豆たんぱく あり

でんぷんで水増し

でんぷんも水を吸うのでかさ増しに使えます。しかし大豆たんぱくと違い、でんぷんは加熱しないと水を吸いません。でんぷんをたくさん入れたからといって水もたくさん入れてしまうと、火が通るまで保型できません。一方大豆たんぱくは加熱しなくても水を吸ってくれるので、この点がでんぷんと大豆たんぱくの違いになります。

でんぷん含有率 1%でんぷん含有率 7%

ぬり身と下身

蒲鉾は基本的にぬり身と下身の2層構造になっています。赤も白も焼も2層構造です。表面のぬり身は滑らかに成形するために水が多くなっています。また魚肉だけではややくすんでしまうので色を白くするためにでんぷんも多く含まれています。このため、でんぷん含有率0%にはなっていません。

下身が蒲鉾の本体なので味や食感は下身を味わっていることになります。正月用蒲鉾は下身の部分のでんぷん含有率が0%のものも多くあります。

資材のコスト

包装フィルムも金などの特色やマットOPPや和紙包材など特殊な原反を使うと値段が上がってしまいます。しかし1パック当たりにするとごくわずかの金額です。

また、正月用蒲鉾は板が厚い物が多くあります。竹輪や揚物(さつま揚げやごぼう巻きなど)は冷蔵でそれほど日持ちしません。同じ蒲鉾でも板が付いていない蒲鉾も日持ちしません。しかし蒲鉾は未開封できっちり冷蔵されていれば1年くらいは持ちます。板の役割って結構すごいのです。

と言っても製造後にチルドで流通させる場合は1年もの賞味期限は打刻していません。包装後加熱していない蒲鉾ならせいぜい1週間~10日でしょう。なので何ヶ月も前に賞味期限が切れた蒲鉾が冷蔵庫の奥から発掘されると驚いてしまう方もいらっしゃいます。「賞味期限がとうの昔に切れているのになんで腐っていないんだ! きっととんでもない薬物が入っているに違いない!!!」と。それ板と冷蔵庫のおかげです・・・

上記のことから年末に売られている蒲鉾はそれなりに原価がかかっています。食べ慣れている普段の蒲鉾、年末にしか売られていない弾力のある蒲鉾、どちらがお好みでしょうか?