食品への毛髪混入対策の検証

食品への毛髪混入対策の検証

対策を実施したら、「検証」を行わなければなりません。毛髪混入防止対策に於いても検証は必要です。

ISOなどの規格ではやたらと効果の検証を求めてきます。やはりそれは検証が必要だからであり、往々にして検証を省いているところも多いからではないかと考えられます。「検証無き仮説は思い込み」ですので、毛髪混入対策も検証することでより確実な効果を上げることができます。

対策の検証は何を以てすべきか?

毛髪混入に限らず、お申し出を受けたら原因を推察して何らかの対策を立てます。そして対策が本当に効果があったか(=推察した原因が本当にそうだったのか)検証をするわけですが、その検証を「クレーム件数」を以て実施してはいないでしょうか。

クレーム件数を以ての検証となると、かなりの時間が経ってからの検証になってしまいます。スパンが長いのですぐに次の手を考えることができません。「あんま効果あらへんかったみたいやし、なんか他の対策考えなあかんなぁ。」と振り返るまでにクレームが垂れ流しになってしまう可能性があるのです。

立てた対策が確実に実施できているかを検証すると、期間を経ずに検証ができますのでお勧めです。その上で、クレーム件数でも検証していけばいいのです。

「ちゃんと言うといたから、みんなやっとるやろ。」と思って、決算月に1年間のクレーム件数を締めてから検証しているようでは遅いのです。「みんなやってるやろ」と思うのではなく、「言うた通りやっているかどうかを確認してみよう」とならなければなりません。

効果があるのか無いのか、効果が無いならその原因は推察した原因や対策が間違っていたのか、推察した原因は合っていたがみんなが対策をきちんとしていないから効果が出ないのか、などを見極めないといけないのです。

この点からも「出勤前のシャンプー」や「帽子をかぶる前のブラッシング」は毛髪混入対策として問題があると考えます。本当にやっているか検証が難しいからです。

真面目にやっている人はやるけど、ばれないことはやらない主義の人もいます。言いっぱなしの対策は正直者が馬鹿を見ることにもなりかねません。作業者の間では手抜きの人はバレバレです。でも意外と上の人にはばれません。

「○○さんはルール守ってへんのに、課長に気に入られているから大目に見られている。私らはちゃんとルール守ろうとしてちょっと早めに出勤してきているのに・・・」という話にもなってきます。職場のモチベーションを下げないためにも、検証できない対策はルール化しない方が賢明です。

正しい粘着ローラーがけの検証

まずは現状把握のため録画をしたと思います。そしてその動画を確認し、対策を立てます。そして立てた対策(=教育計画)に沿って教えていきます。これで上図が1巡します。

一巡したら教えた効果があったのかを検証して、上図の2巡目に入りましょう。教え始めて1ヶ月くらいしたところで、再び入場の粘着ローラーがけの様子を撮影します。そしてその動画を複数で確認します。

質問してみる。

動画を確認して「この人の帽子の横、全然かかっていません!」とか指摘をしたくなると思いますが、ここはぐっとこらえましょう。↓のように製造の責任者に話しを促す問いかけをし、製造の責任者が気づきを語りはじめるのを待ちます。

  • 1ヶ月間教えてきてどうでしたか?
  • (ビデオを一緒に見ながら)この人の帽子の横のかけ方どう思いますか?
  • 先月と比べてどんなところが良くなってましたか?
  • 教えるときにどんな点を工夫されましたか?
  • 教えたけど伝わっていないところはどの部分ですか?
  • 伝わらなかった部位で何か心当たりありますか?
  • 今週と来週はどこのかけ方を重点的に教えていこうと思いましたか?

全員教えたとおりにできている。

特に新たな対策は必要ありません。当初の教育計画に沿って、正しい粘着ローラーがけの次の部位を教えていきましょう。

ほぼ全員教えたとおりにできている。

一部の人ができていないので、個別講習をしましょう。単位が取れるように補講を開催するような感じです。

一部の人しかできていない。

当初の教育計画通りに進むには無理があります。もう一度できていない部位に戻って教育し直しましょう。

また、教え方が下手なのかも知れません。伝わるように話すにはどうすれば良いか、自分の話し方、表現の仕方を見直すことも必要かも知れません。

対策を立てた後は、対策に沿って教育をしていきます。そして1ヶ月経ったらまた動画撮影し、その動画を確認し教育効果の検証をします。

「毛髪混入のお申し出が少なくなったか」で検証するのではなく「正しい粘着ローラーがけができているか」を検証することがポイントです。

「うちはたった1件しか毛髪クレーム出してません!」

食品への毛髪混入の件数が少ないからと言って安心していてはいけません。混入していた毛髪の長さを確認しましょう。

食品への毛髪混入防止対策には粘着ローラーがけが最重要ポイントであることはお話ししました。では粘着ローラーで取り除きやすい毛髪はどのようなものでしょうか?

上図を見てわかるように、長い毛はどこか端っこが引っかかれば取れてしまいます。しかし短い毛はその上をドンピシャで転がさないと取り除くことができません。

と言うわけで長い毛の方が取れやすいわけです。ですから長い毛がお申し出として返ってくる工場はかなり粘着ローラーがけが粗い工場であることが推察されます。

何らかの理由で消費者から返ってきていないだけで、食品メーカーの知らないところで毛髪混入が多発しているものと思われます。不満を訴えてもらえないわけですから、食品メーカーから消費者のもとへお詫びに伺うこともできません。

わざわざ教えてくださる消費者は食品メーカーにとって改善の機会を与えてくれる本当にありがたい存在ですが、サイレントマジョリティーは企業の足下をすくいかねない存在です。クレーム品の毛髪の長さもデータに残すようにし、お申し出にならない声の存在も常に意識する必要があります。

毛髪混入の件数と毛髪の長さ

ある工場に於いて過去3年間の毛髪混入のお申し出件数を分析したところ、7.0cm未満の毛髪が全体の6割を占めていました。度数分布は毛髪の長さが~6.9cmと7.0cm~の間に壁があり、7.0cm以上の毛髪の人が元々少ない、若しくは粘着ローラーがけで取り除きやすいことがうかがえます。

ちなみに件数が最も多かったのは3.0~3.9cmの毛髪でした。3cmくらいの幅のかけ残しが出る粘着ローラーのかけ方をしている人が多いのだろうと思われます。

毛髪混入防止対策の記事一覧

番号順に読んでいただければわかりやすいかも知れません。

  1. 食品への異物混入苦情件
    やっぱり食品のクレームで一番多いのは毛髪混入でしょうと言う話
  2. 食品への毛髪混入と報告書
    報告書を書いたら全部終わった気になって、結局何の対策もしていなかったと言う反省
  3. 食品への一般的な毛髪混入防止対策
    どこの食品工場でもやっていそうな普通の毛髪混入防止対策
  4. 食品への更なる毛髪混入防止対策
    食品業界では推奨されているけど、大して効果がなさそうな毛髪混入防止対策
  5. 食品への毛髪混入経路
    作業服の中から落ちてくるのではなくて、作業服に付着した抜け毛が原因じゃないの?と言う話
  6. 食品への毛髪混入を防止するための粘着ローラー(コロコロ)
    やっぱり粘着ローラー(コロコロ)がけが一番だよね~ と言う話
  7. 食品工場に於ける粘着ローラー(コロコロ)がけの重要度
    毛髪を危害要因と考えたらどこをCCPに設定するか? 的な話
  8. 食品工場に於ける正しい粘着ローラー(コロコロ)がけとは?
    とりあえず自分の職場の現状把握をしてみましょうと言う話
  9. 毛髪混入を防止する正しい粘着ローラーがけ(コロコロ)の手順
    時間をかけて、地道に、着実に対策していかないと毛髪混入は減らせないよ〜 という話
  10. 食品への毛髪混入対策の検証 ←今ココ
    クレーム件数による検証も必要だけど、まずは決められた対策を全員が確実に実施しているかを検証したほうがいいよ~ という話
  11. 食品への毛髪混入を防ぐ粘着ローラー(コロコロ)がけの教え方ポイント
    教え方のコツ
  12. 食品工場での新人教育 毛髪混入対策編
    ここだけは入社初日に教えたほうがいいと思うポイント
  13. 二人で行う粘着ローラー(コロコロ)がけ
    相対で行う場合の注意点
  14. 食品工場に設置すべき粘着ローラー(コロコロ)の本数は?
    粘着ローラー(コロコロ)がけのスペースと本数の話
  15. 毛髪混入防止対策に効果的な粘着ローラー(コロコロ)の形状は?
    粘着ローラー(コロコロ)のハードについての考察
  16. 食品工場入口で粘着ローラー(コロコロ)がけにかかる時間
    タイマーで管理している食品工場は毛髪混入が減らない言う話
  17. 粘着ローラー(コロコロ)がけの撮影方法
    現状把握のための録画するときのポイント
  18. その他
    毛髪関連カテゴリーの記事一覧
  19. 毛髪混入が前年比21%にまで減少した粘着ローラー(コロコロ)がけ動画マニュアル
    動画マニュアルの内容や入手先