食品への異物混入防止対策 金属検出機の誤使用編

食品への異物混入防止対策 金属検出機の誤使用編

金属検出機で全ての金属異物を排除できるわけではありません。しかしクレームで返ってきた金属異物を該当ラインの金属検出機に通してみると、検知できることがほとんどです。金属検出機の「性能」より「使い方」に問題があり、金属片が混入した商品を市場に出荷してしまうパターンが多くあります。

金属検出機の取り扱い方教育

最後の金属探知工程をCCPに設定している食品工場が多いと思います。CCPは非常に重要な工程です。なので教育され、その力量を持った者にのみ担当させるべきです。

作動テストの方法

金属検出はサンプル検査ではなく全数検査なので最初から最後まで正常に作動していたという確認が必要です。作動テストは最低でも一日二度(生産開始時と生産終了時)は実施しましょう。アイテムごとに行うのが一般的だと思います。

検知可能か

テストピースをベルト面に載せて作動テストしていてはいけません。金属検出機の一番感度が弱いところでもテストピースを検知できるか作動テストをしなければなりません。

上下で一番弱いところはトンネルの真ん中です。ベルト面とトンネルの上の真ん中ではなく、トンネルの下とトンネルの上の真ん中です。

左右で一番弱いところは金属検出機の形式により変わります。対向型なら両端、同軸型なら真ん中になります。

感度が一番弱いところにテストピースを通すようにしましょう。タッパの中にスポンジを敷いて高さを合わせてテストピースを入れても良いですし、商品パッケージの上に載せて作動テストしているところもあります。金属検出機の形式がわからないときや、形式が工場内で混在しているときは左右の真ん中と両端の3カ所にテストピースを流すルールにしておけば良いと思います。

排除するか

テストピースを検知するだけでは不十分です。検知して排除動作も確実に行われているか確認しなければなりません。排除のタイミングが合っているか確認しなければいけない排除装置(例えばエアー式やアーム式など検知した商品だけを排除するような仕組みのもの)の場合は、実際に商品を流して排除されるかを確認する必要があります。排除装置が正しく動いていなければ金属異物混入品はスルーしてしまうので、検知ブザーを確認するだけでは不十分なのです。

排除品について

排除品入れ

賽銭箱のようにして、入ったら鍵を持っている人しか排除品を取り出せないようにしている工場もあります。赤いボックスに入れるようにして、社員以外触らせないようにしている工場もあります。とにかく排除品を入れるのに十分な大きさがある容器を用意しましょう。また、他の容器(包装不良の一時置き、重量過不足の排除品入れなど)と同じ容器は使用しないようにしてください。

排除品の取り扱い

作動テストは、テストピースの流し方など金探の扱い方を教育した作業者が行っているはずです。しかしそれ以外の作業は金探教育を受けていない作業者に担当させていることもあるでしょう。

排除品には教育を受けていない作業者は触らないように指示しておきましょう。親切心からラインに戻されてしまう危険性をゼロにしてください。

また、包装済み落下品の取り扱いにも注意が必要です。金探が排除したものの排除品入れに入らず、落ちてしまったものの可能性もあります。新人が配属されてきたら初日に、落下品を戻す場合は必ず金探より前に戻し、必ず金探を通過させるよう落下品の取り扱い方を教育してください。

金端を通過させていない包装済みの一時保管品も注意が必要です。そのまま箱詰めして出荷されるとたいへんです。金探未通過の旨を表示しておくなど、金属検出がまだであることが誰にでもわかるようにして下さい。

排除品から金属異物を取り出す

排除品の取り扱いも教育を受けた作業者にのみ担当させます。例えば下記のようなフローで金属異物を取り出します。

「つなぎ目」というのは包材加工業者でつなぎ合わせた包材のつなぎ目です。見た目でも明らかにつなぎ目であることはわかりますが、金属テープが貼ってあるので金属検出機ではじくようになっています。もし包材加工業者がつなぎ目に金属テープを貼っていないのであれば、依頼すれば次回加工分から貼ってくれることでしょう。

金属検出機は塩分、水分、振動などで誤作動を起こして排除してしまうこともあります。再度金探を通過させて、誤作動なのかを確認します。針金状の金属が入っていた場合、混入している向きによっては検出しにくいことがあるので、向きを変えて再度通過させてみてください。

取り出した金属の報告

金属片を所定の書式で報告します。品証が報告を受けたらデータ入力し、金属探知工程より前の工程を調査します。破損箇所が見つかったものの破片がすべてそろわないときは出荷の可否を慎重に判断します。また、混入原因を徹底的に調べ、再発防止策を錬る必要があります。

まちがっても何も調べずに排除品を廃棄してはいけません。

報告書の書式例

困ったルール

品証的には考えられないような俺たちルールが存在することがあります。こうやりなさいだけではなく、こうやってはいけないと言う事例も教育した方が良いかもしれません。

作動テストが間違っている

  • ベルト面では検知できるが、ベルト上数センチのところでは検知できない。
  • 作動テストはしているが、1回でも検知できればOKと言う基準になっている。10回のうち9回が無反応でもOKにしている。

作動テスト時と実際の作業下での感度が異なる

  • 作動チェックの後、感度を下げている。
  • 作動チェックの時だけ検知の電源を入れている。商品が流れているとき、ベルトは動いているが検知機能が働いていない。

実際には異物の混入がないにもかかわらずブザーが鳴りっぱなしのときに、作業者が仕事にならないので感度を下げたり、検知機能をOFFにしたりすることがあります。近くの電気コードに反応していたり、凍結品が解けかけで結露水に反応していたりすると、このような鳴りっぱなしの状況に陥りやすくなります。

誤作動が続き正常品を次々排除して仕事にならないときの対応方法をマニュアル化しておくと良いでしょう。このマニュアルの内容をライン作業者に予め教えておけば、安易に感度を下げたりすることは防げるかもしれません。

また責任者に報告しやすい雰囲気を作っておくことも大切です。異常を報告しにくい雰囲気が、作業担当者に感度を落として誤作動しないようにさせたり、検知器のスイッチを切ってコンベアとして使わせたりする遠因になります。

ONにした直後から使用

  • スイッチを入れた直後、金属検出機のシステムが起動する前に製品を流している。
  • 止まっているベルトに製品を載せてからスイッチを入れて動かしている。

金属検出機の検出部が安定するにはある程度の時間を要する機種が多いので、業者に確認しておいた方が良いです。開始30分前のONを推奨しているところが多いようです。

金属検出機を通過させる方法

製品は金属検出機のベルトの上に置いて流しましょう。

とあるアソート工場の事例

冷凍バルク商品をそれぞれ1~2個/種類ずつ取り、数種類を組み合わせてパック詰めしている工場がありました。パーツとなるバルク商品は各パーツメーカーで既に金探通過済みです。アソート工場の工程は詰め合わせているだけなので金属片が混入するような工程はありませんが、金属検出機を設置して包装済みのアソート品を金探に通過させていました。

製品を手で持って金探を通過させている。

包装スピードが結構ゆっくりなのと、包装機と金探がベルトでつながっていないので、製品を手で持ったまま金探に通していました。金属異物混入の危害はないので、この工程はここの工場に於いてはCCPではないのですが、あまりにも衝撃的な光景でした。

※ 上記画像は、この事例と別工場の全く別の製品で説明用に撮影したものです。

「全品、金探を通過させる」と言っても通し方は人それぞれなので、どのように通過させているか確認した方が安全です。こういうことをしている工場は他の工程に於いても、常識破りの革新的な方法を編み出して製造しているかもしれません。1~10まで細かく確認し、きちっと指導しなければ安全な商品を出荷することは困難でしょうね。

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