食品への異物混入防止対策 機械の金属片編

食品への異物混入防止対策 機械の金属片編

金属検出機で止まれば良いのですが、残念ながら金属検出機は完璧ではありません。最終的にフィルターで濾す食品以外は、製造工程で金属が混入する危険性を少しでも減らすように管理するようにした方が安全です。

ネジや工具

ベルトコンベアのベルト面などより上に、工具類やボルト、ビス、ナット、ワッシャーなどを置かないことです。そもそも部品が余っている状態で、機械を動かしてはいけません。余分な部品は作業場外で保管、管理すべきです。

工具もラインごとに種類と数を管理しましょう。始業時もしくは終了時(またはその両方の時点)に点検して記録に残すといいでしょう。もしなくなっていたら見つかるまで探し、もし見つからなかった場合、出荷するかどうか慎重に判定しましょう。

ネジ立てを利用している工場もあります。洗浄時で部品を外すと出てくるネジの数だけ穴があります。洗浄時はこれにネジを刺しておきます。

ボルト、ビスの緩み

振動で外れ落下する危険性があります。緩みがないか点検しましょう。

元々ネジがないネジ穴か、緩んで外れたネジ穴かがわかるようにしておかなければなりません。使っていないネジ穴にマジックで×を入れるか、パテなどで埋めましょう。

私の経験では次工程や消費者から指摘があって初めて、問題を認知することが多かったです。製造ラインに行ってみると「あ~そこのネジ、先週からなかったんですよね~」という答えが返ってきます。「製品に入っているかも?」とは考えず、「誰かが外してどこかに保管しているんだろう」と製造現場では楽観的に思い込んでいることが多かったです。

ネジがなくなっていることを異常と認識していないので報告が上がりません。職場リーダーや作業者の感性も影響します。何か気づいたら言いやすい雰囲気、気づいたことを口にしても否定されない職場でなければ食品安全を担保するハードルは上がってしまいます。

工具でコンコン

製品が流れる場所の上に固定するためではなく、幅や高さなどを調整するためのネジが付いていることがあります。機械を動かしながらこのようなネジ類をスパナなどの工具でコンコンたたいて調整するのもやめたほうが良いです。ネジや工具の細かい破片が製品に入る可能性があります。

ゴムハンマーやネジを締める専用の工具を使って、機械を止めてから調整させなければいけません。

このようなルールがあっても「面倒だから」と守らない作業者がいるのも食品工場あるあるです。場合によっては職場リーダーが「俺はコンコンしてもええねん」と率先してルール破りしていることもあります。品証としてはつらいところですが、見つけるたびに注意していくしかありません。

機械のこすれ

洗浄後に組み立てたときセットの仕方が悪かったりして、回転部分がこすれて削れることがあります。

どの時点まで異常がなかったのか確定できると、どこから出荷を止めたら良いかがわかります。洗浄後の点検項目に傷の有無を入れておくと便利です。

スライサーの刃など、板状の薄い金属の欠けも時々あります。これも洗浄時に点検し記録に残すと良いでしょう。

包丁

機械ではなくて包丁で作業を行う工程もあります。破損が確認されたら、作業を止めてとにかく破片を探しましょう。すべての破片を回収できなければ、出荷するかどうか慎重に判定しなければなりません。

包丁の点検のタイミングは、ずっと同じものを切るのであれば、決められた時間ごとに点検します。例えば1時間ごととか、始業時、昼休憩前、終業時などです。

いろんなものを切っているのであれば、アイテムが替わるごとに点検をすると良いでしょう。最悪そのアイテムだけの廃棄で済みます。

金属異物の記事一覧