内部監査員スキルアップ研修を受講してきました
広田教授に「明日、大阪で研修やるから、時間があるならおいで」と言われたので参加してきました。毎週参加するコースの研修かと思っていたら1日で終わる単発研修でした。
【大阪】ISO/FSSC/JFS-A.B.C等 内部監査員スキルアップ研修
内部監査員講習
前職ではISO22000をやっていたので、私も内部監査員講習に行ったことがあります。「マニュアルと現状を照らし合わせて、マニュアルから逸脱しているところがあれば指摘しましょう」など主に手順についての講習でした。
しかし広田教授の研修はHACCPの神髄から会社を見なさいと言う教えでした。HACCPを通して会社の経営に参加することが出来る点が内部監査の醍醐味であるとおっしゃっていました。
やはり実際に組織の中でしっかり内部監査をして、改善を進めたり被監査部門とぶつかったりで数々の障壁を乗り越えてこられた方の実例を含む広田教授の話は、内部監査がうまく機能していなかった組織にいた私からするととても参考になりました。
内部監査の実態事例
FSMSマニュアルなどの規程を読む機会
前職では内部監査員は課長 & 部長 + 品証部員となっていました。内部監査は他部署の人と2人1組になります。だいたいの人は前回やった人のチェック表をそのまま使い、前回の不適合などを確認してから前回と同じチェック項目を聞くだけの内部監査が多かったように思います。正直なところ内部監査員に選ばれた人は、わざわざ時間を使って内部監査なんてしたくないというのが本音でしょう。
私も内部監査は面倒に感じていましたが、一応FSMSのマニュアルを読み直し、監査部署に関連する規程も読み直して内部監査チェック表を毎回作っていました。ちゃんとマニュアルに目を通すのはこういう機会しかありませんから・・・
監査結果のディスカウント
私は管理職でもないのに、品証から異動してからも内部監査員として予定に組み込まれていました。
新商品が開発され、ラインに新しい機械が入りました。この新商品は結構売り上げが好調でした。そして私と他部署の課長が、この新商品を製造している部署の内部監査を担当することになりました。
調べていくとこの新商品の完全なフローやハザード要因分析がないことがわかりました。似ている商品のものはあるので、それで代用できないこともないのですが、包装後のフローが大きく異なっていました。これに伴い、製造ラインで使用する仕掛品の使用期限一覧表などが現状と一致していなかったり、他にも作業方法が変わっているのにフローやハザード要因分析が古い作業方法のままだったり、様々な不具合が見つかりこれらを監査報告書にまとめました。
しかし「一覧表を更新したら『それで良い』って品証部長(=内部監査リーダー)に言われたし~」と被監査部門から内線があり、それ以上の改善にはつなげられませんでした。確かに発見された不適合は「一覧表が更新されておらず現状と一致していない」ですが、表面だけの改善でとどまっていてはわざわざ経費を掛けて認証規格を維持している意味がありません。
なぜフローを作らなかったのか、フローを作るインプット(会議などで情報が回ってきているはずなのに・・・)は機能していたのか、フローを作ってハザード要因分析をした結果、一覧表などの関連文書がアウトプットされるのでこれらの工程がうまく流れなかった原因は何なのか、うまく流すにはどう改善するのかまでやるのが認証規格の内部監査だと思うのですが・・・
しかし現実的には問題がなく、直ちに製造を止めないといけないような不適合ではなかったので、ペアになった人と「まぁしゃーないわな」と言いながらはんこを押して改善完了にしました。
(その後、品証メンバーがフローを見直してきっちり修正してくれました。)
タイプ8
私が品証にいたころの部長は定年で品証顧問となり、バイヤー部門から移動してきた人が後任の部長になりました。この人はエニアグラムで言うとタイプ8(ジャイアンタイプ)です。タイプ8は自分の縄張りを設定します。縄張りの中にいる人はタイプ8の子分です。子分を守るために戦いますが、健全度が低いと部分最適に陥ります。
上記の場合、被監査部門の管理職が子分で、監査側の我々は子分をいじめる外敵です。タイプ8は外敵から守るのが自分の役割と思っているので、このようなやり方をしてしまったのでしょう。本来のルールを無視して自分のやり方を通せることもまた快感です。そうすればタイプ8が欲しくてたまらない「自分の強さ」を感じることができるからです。
バイヤー部門では押しの強さでこちらの要求を業者に飲ませ、会社の利益に貢献する人という評価を得られたかもしれません。しかし品証の立場で相手に強く言うだけではうまく回りません。
この頃「誰にでもきつい言い方しているんだけど、バイヤーだったから他の言い方ができないんでしょうね・・・」、「役員が出ている職場会議でも、自分がやってもいないことを『できてる』って言ってて押しが強い。結局は元工場長が全部後始末しているのに・・・」と不満が聞こえてきていました。
健全度が高ければ、部下を守り、困難に立ち向かっていく頼もしいリーダータイプなのですが、今までとは畑違いの品証に異動になって健全度が落ちてしまっていたのでしょう。
私が製造にいた頃、この方は工場長をされていました。私が失敗して不良品を1000パック出した時は「そういうこともある。次から気ぃつけたらええから。気にすんな。」とすれ違いざまに向こうから声を掛けてもらって、少し落ち込みから回復できたことがあります。このころは健全度が高かったのでしょう。同じ人なのに健全度が変わると、周りに与える影響がこうも変わるのだなぁと思った出来事でした。
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