毛髪混入防止対策に効果的な粘着ローラー(コロコロ)の形状は?
- 2019.04.27
- 毛髪混入防止対策
毛髪混入対策で最も重要なのは粘着ローラー(コロコロ)の「かけ方」というソフト面であると私は考えています。正しい粘着ローラーのかけ方を教え、作業者全員ができるようになれば確実に毛髪混入は減ります。と言うか、今まであれもして、これもして、それでもたいした効果が現れなかったのがウソのようにピタッと止まります。
しかしハード面も気になるところです。では毛髪混入防止対策でどのようなハードを選んだら良いのでしょうか。
目次
オススメの粘着ローラーのハンドル
食品工場でよく使われているこのタイプ(Y型 ワイヤー製 160mm幅 長さ約350mm)がオススメです。どこの食品工場でも、今現在お付き合いのある衛生用品業者に問い合わせれば入手可能なはずです。
- T字型なのでかけやすい。
- 柄がワイヤーなので手に持った時に方向がわかりやすい。
- 柄の長さが適当なので、背中をかける時に転がしやすい。
- ワイヤーなので壁のフックに引っ掛けやすい。
現在売っている粘着ローラーではこれが最も使いやすく,入手もしやすいと思います。
<粘着ローラーメーカーの方への改善のお願い>
・ワイヤーを止めている金具をズレにくくしてほしいです。
・粘着ローラーがけしている最中に、柄とロールが外れないようにしてほしいです。
変えた方が良いと思う粘着ローラー
カーペット用粘着ローラーを代用
ホームセンターで買ってきて使っているパターンです。使いにくいと思うのは下記の点です。
- ワイヤーT字型より柄が数cm短いので、背中にかけにくい。
- 柄が丸いので、手で握ったときに粘着ローラーの方向がわかりにくい。
- ロールの片端に押さえがないので、かけている最中にロールがズレたり抜けたりしやすい。
- 柄に角度がないのでかけにくい。
- 壁のフックに引っ掛けにくい。
床にかける時は便利かも知れませんが、自分で握って自分の体にかける用ではないので使いにくいです。
床用であっても、柄の長さが十分で、四角い柄で、ロールが抜けにくいものであればまだましかなとは思います。
短い柄の粘着ローラー
柄が短いので、よほど肩が柔らかい人でないと背中に届きません。
I型の粘着ローラー
とにかく転がしにくいです。柄も短いので背中にかけることはほぼ不可能です。届かないところがいっぱいあるので、かけ残しがたくさんできてしまいます。
幅が狭い粘着ローラー
幅が狭いので、かける回数を多くしなければなりません。160mm幅の方が効率的で、作業者への負担も少なくてすみます。
粘着ロールの選び方
ミシン目入りロール
ミシン目入りはめくりにくいです。右か左の端からめくるのですが、途中でちぎれてしまうことが多く1回で反対の端までめくれません。途中で切れて剥がれるので、また真ん中あたりから爪で端を探してから1周めくらないといけません。めくる度に毎回イライラしてしまいます。
簡単にめくれるようにするコツは、使ってめくる際にミシン目がないところでちぎることです。だったらミシン目が入っている意味ないですよね・・・
ときどき発注を忘れていて、ホームセンターで買ってきたこのタイプになっているときがありました。工場からはめくりにくいと大ブーイングでした。そしてなぜか私が勝手にこのタイプに変えたと言う話にされていました。いえいえ、在庫を見ていない人が発注を忘れていただけですよ・・・
ワンカットロール
ミシン目入りよりワンカットの方がめくりやすいですが、ローラーにセットする方向を間違えると、粘着ローラーがけの最中にベリベリ~と剥がれて作業服にくっついてしまうという難点があります。
ワンカットのロールを使う場合は上図の方向にロールをセットすると、ベリベリ~が防げます。
時々、右から左まで同じ層を出すには何周もめくらないといけない状況(上図)に陥っていることもあります。これはミシン目入りでもよく起きるパターンです。前にかけた人がキレイにめくるのを諦めた感じが嫌でした。
これもあるとき非常にめくりにくくなったことがあります。メーカーに問い合わせると「糊が強いほうが良いと思って~」と製造ラインの人が糊の濃度を変えてしまって、そのロットの分がとてもめくりにくい粘着ロールになっていました。粘着力が強ければ良いというもんではなく、ちょうどいい塩梅の強度ってものがあるんだなぁと知った事件でした。
スパイラルロール
スパイラルロールにすると、1枚ずつ剥がせますので便利です。1枚しか剥がせないので、総合的に見るとスパイラルロールの方が経済的かも知れません。
掃除機タイプ
粘着ローラーではなく、バキューム方式で作業服表面に付着した毛髪を吸い取る掃除機のような機械もあります。しかしこちらのページでも解説したとおり、カーペットの毛髪を掃除するのに確実で一番効率的なのはコロコロカーペット(粘着ローラー)です。
吸込み口が曲がらない
ノズルは左右には曲がるのですが、前後は固定されているため曲がりません。背中などとてもかけにくいです。おまけにホースが付いているので邪魔です。
付着していた毛髪が取れたのかわからない
粘着ローラーなら、毛髪が取れていれば粘着シートの表面にくっついています。ちゃんと取れてよかったと確認することができるのですが、掃除機タイプは吸ってしまうので手元で効果を確認できません。
かといって紙パックを確認してもほとんど抜け毛は入っていません。これは元から抜け毛が作業服表面に付着していなかったのではなく、抜け毛を機械で取り損ねたまま作業者がラインに入ってしまっているのではないかと思います。
服に吸い付く
作業服に吸い付くのでスムーズに服の上を滑らすことが難しいです。シワを伸ばしながらかけることも難しいです。うまくやるにはかなりの熟練技が必要になってしまいます。
付着している毛髪がなかなか取れない
作業服に10本の毛髪を付けて実験してみました。1発で取れる毛髪もありましたが、6往復しても取れない毛髪もありました。端から見るとその毛髪の真上にノズルが当たっているのですが、微妙に角度が違うのか毛髪が取れないのです。
想像にはなりますが、前後左右で入ってくる空気のバランスなどが関係しているのかも知れません。
掃除機タイプで全身のどこかに付いている抜け毛を全て確実に取り除こうと思えば、数分かける程度では絶対に無理でしょう。
吸込み口の幅が狭い
160mm幅の粘着ローラーに比べれば幅が狭いです。またその狭い幅の全てが毛髪除去に有効な幅なのか疑問です。
設定時間が短い
タイマーが付いていて時間が来るとスイッチが切れます。だいたい30秒設定で使っている工場が多いのですが、30秒で全身をかけることはできません。
やかましい
とにかく音が大きいので、うるさいです。
このような理由から、私が担当していた製造委託先には掃除機タイプはやめて、粘着ローラーに変更するよう申し入れていました。
<掃除機タイプを製造しているメーカーの方へ>
上記のような部分を問題と私は考えております。参考にして頂ければ幸いです。
以上、個人的な独断と偏見でポイントをまとめてみました。
粘着ローラーの型はサンプルを取り寄せて、使ってみて、どれが良いかを製造のみんなで決めれば良いと思います。参考にしてみてください。
毛髪混入防止対策の記事一覧
番号順に読んでいただければわかりやすいかも知れません。
- 食品への異物混入苦情件
やっぱり食品のクレームで一番多いのは毛髪混入でしょうと言う話 - 食品への毛髪混入と報告書
報告書を書いたら全部終わった気になって、結局何の対策もしていなかったと言う反省 - 食品工場の一般的な毛髪混入防止対策
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時間をかけて、地道に、着実に対策していかないと毛髪混入は減らせないよ〜 という話 - 食品への毛髪混入対策の検証
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