食品への一般的な毛髪混入防止対策

食品への一般的な毛髪混入防止対策

毛髪混入対策をしていない食品メーカー、食品工場は無いでしょう。減らしたいと思って対策をやっているのになぜか発生してしまうのが毛髪混入です。

毛髪混入防止の基本と言われている対策

食品メーカー、食品工場で実施している基本的な毛髪混入防止対策は、こんな感じではないでしょうか?

  • 食品工場用の作業服を着用する。
  • 作業服の開きはボタン留めではなくファスナーにする。
  • 袖口とズボンの裾に絞りを入れ中から体毛が落ちないようにする。
  • 帽子は頭巾帽にする。
  • 帽子の下にはヘアネットを着用する。
  • 毛髪がはみ出さないように着用する。
  • 身だしなみチェックをする。
  • エアシャワーを通ってから作業場に入る。
  • 粘着ローラーをかける。
  • 当番を決めて作業中にローラーをかけて回る。
  • エアシャワーに粘着シートを貼る。
  • 粘着マットを設置する。
  • 入口に写真(イラスト)付き粘着ローラーがけマニュアルを掲示する。

食品工場用の作業服

作業帽、作業服でほぼ全身を覆うことで中から毛髪や体毛を落とさないことが大切です。そのためにも食品工場に適した形の作業服を選定することが重要です。

エアシャワー

エアシャワーの効果は作業服の材質により変わります。半導体工場などの作業服なら効果があるらしいです。食品工場の作業服ではどうなるのでしょうか?

作業服に毛髪を付けてエアシャワーに入ってみましたが、生地と接している部分の毛髪は飛びにくく、そのまま残りました。エアシャワーの効果を示すために、毛髪の代わりに糸を作業服に付着させて吹き飛んでいく動画を見たことがありますが、毛髪と糸で同じ結果が出るのか疑問が残ります。毛髪では飛ばなかったから糸で動画を作ったんじゃないのかとちょっと疑っています。知らんけど・・・

かといって、毛髪が飛びやすいツルツルの材質にすると粘着ローラーがベタッとくっついてしまうのでローラーがけがしにくくなるそうです。こうなるとローラーがけが雑になってしまい逆に毛髪混入が増えた事例もあるとか・・・ (一緒に登壇した別の講師の方が紹介されていました。)

個人的にはエアシャワーは監査員の印象を良くするためのインテリアと思っています。ただ「エアシャワー = 前室」と見ると虫の侵入経路遮断には効果があるかも知れません。

毛髪混入クレームを出す度に増える対策

毛髪混入クレームを出してしまって何らかの対策を取らなければならなくなり、増えていった対策はこのほかにはこんな感じではないでしょうか?

報告書に書いて流通に出してしまったので、やめるにやめられない。他にどうすれば良いかわからないので、なんとなく続けてやっていると言ったところでしょうか。対策の効果は実感できていますか?

  • チェック強化系
    • 箱詰め前に異物目視検査工程を入れる。またはチェックする担当者の人数や回数を増やす。
    • 粘着ローラー(コロコロ)がけをちゃんとしたら○をつける「自己チェック記録表」を導入する。
  • 回数増やす系
    • 粘着ローラーがけのタイマーの時間を伸ばす。
      • 例 30秒 → 60秒
    • 作業中の粘着ローラーがけの回数を増やす。
      • 例 2時間に1回 → 30分に1回
    • 作業場にたどり着くまでの粘着ローラーがけの箇所を増やす。
      • 例 1カ所でだけかけていたが、2カ所に増やす。
  • 設備投資系
    • 静電気で毛髪を落としにくくするネットをかぶる。
    • くぐると静電気を取り除く紐を取り付ける。
    • 監視カメラを導入する。

チェック増やす系対策

検品工程はずっと続けることができれば良いのですが、今まで検品者を置いていなくても問題無かったので1ヶ月位すると元に戻ることが多いでしょう。結局は一時的なパフォーマンスに終わることが多い対策です。金属検知機とは違い、そもそも商品の表面しか検品できないのであまり効果は期待できません。

自己チェック記録表はあくまで自己判定です。自分で自分の粘着ローラー(コロコロ)がけができていないと思っている人はいないので、「×」が付くことはありません。○を書く練習用紙と代わりがありません。

回数増やす系対策

タイマーで粘着ローラー(コロコロ)がけの時間を管理しているところもあります。流通系の監査員には非常に受けが良いので、この点はお勧めです。タイマーが付いていて粘着ローラーがけマニュアルが掲示してあれば、「この工場は毛髪対策ができている」と判断してくれます。

しかしほとんどの作業者はタイマーが鳴るまで「同じところを何度もかけるだけ」で、隙間なく全身にくまなくかける人はあまりいないでしょう。そもそも30秒や60秒で全身にかけることはできません。

作業中の粘着ローラーがけの回数も同様です。当番は背中しかかけないでしょうし、当番が回る前に毛髪が落下して商品に混入していたら意味がありません。

粘着ローラーがけの関所を増やすのも同様です。粘着ローラーがけの仕方は筆跡と同じです。その人はその人の癖で毎回同じようなところしか転がしていません。関所を増やしても再び同じところを同じように転がすだけです。回数を増やしてもかけ残しを埋めることはできません。

設備投資系対策

設備投資系対策は報告書を書かないといけない時、品証にとって非常に助かる対策です。報告書を作成しなければいけないけど対策がネタ切れの時は、のどから手が出るほど頼りたくなるのですが、本当に効果があるのか見極めなければなりません。

特に監視カメラはフードディフェンスの面からも導入するところが増えてきました。やる気のある品証は監視カメラで粘着ローラーがけの様子をチェックして、できていない作業者の部分を切り取って「職場責任者からこの作業者に指導してください」と各職場に動画を配布したりします。

しかし製造現場では職場リーダーが「品証が見とるんやから気ぃつけろよ」「録画されとるんやからちゃんとせなあかんぞ」と一言注意して終わりにしてしまうことが多いです。録画を見せるなりして、「この部分はこんな風に転がすんやで」と丁寧に指導することはほとんどないこともあります。

そもそも製造の責任者が動画を見たとしても映っているのが誰なのか顔を確認する程度や、動画すら見ずに一言注意だけしていることもあります。製造に任せっきりにしてしまうと、せっかくの監視カメラや編集の努力もそれほど効果が出ない場合もあります。

毛髪混入防止対策の記事一覧

番号順に読んでいただければわかりやすいかも知れません。

  1. 食品への異物混入苦情件
    やっぱり食品のクレームで一番多いのは毛髪混入でしょうと言う話
  2. 食品への毛髪混入と報告書
    報告書を書いたら全部終わった気になって、結局何の対策もしていなかったと言う反省
  3. 食品への一般的な毛髪混入防止対策 ←今ココ
    どこの食品工場でもやっていそうな普通の毛髪混入防止対策
  4. 食品への更なる毛髪混入防止対策
    食品業界では推奨されているけど、大して効果がなさそうな毛髪混入防止対策
  5. 食品への毛髪混入経路
    作業服の中から落ちてくるのではなくて、作業服に付着した抜け毛が原因じゃないの?と言う話
  6. 食品への毛髪混入を防止するための粘着ローラー(コロコロ)
    やっぱり粘着ローラー(コロコロ)がけが一番だよね~ と言う話
  7. 食品工場に於ける粘着ローラー(コロコロ)がけの重要度
    毛髪を危害要因と考えたらどこをCCPに設定するか? 的な話
  8. 食品工場に於ける正しい粘着ローラー(コロコロ)がけとは?
    とりあえず自分の職場の現状把握をしてみましょうと言う話
  9. 毛髪混入を防止する正しい粘着ローラーがけ(コロコロ)の手順
    時間をかけて、地道に、着実に対策していかないと毛髪混入は減らせないよ〜 という話
  10. 食品への毛髪混入対策の検証
    クレーム件数による検証も必要だけど、まずは決められた対策を全員が確実に実施しているかを検証したほうがいいよ~ という話
  11. 食品への毛髪混入を防ぐ粘着ローラー(コロコロ)がけの教え方ポイント
    教え方のコツ
  12. 食品工場での新人教育 毛髪混入対策編
    ここだけは入社初日に教えたほうがいいと思うポイント
  13. 二人で行う粘着ローラー(コロコロ)がけ
    相対で行う場合の注意点
  14. 食品工場に設置すべき粘着ローラー(コロコロ)の本数は?
    粘着ローラー(コロコロ)がけのスペースと本数の話
  15. 毛髪混入防止対策に効果的な粘着ローラー(コロコロ)の形状は?
    粘着ローラー(コロコロ)のハードについての考察
  16. 食品工場入口で粘着ローラー(コロコロ)がけにかかる時間
    タイマーで管理している食品工場は毛髪混入が減らない言う話
  17. 粘着ローラー(コロコロ)がけの撮影方法
    現状把握のための録画するときのポイント
  18. その他
    毛髪関連カテゴリーの記事一覧
  19. 毛髪混入が前年比21%にまで減少した粘着ローラー(コロコロ)がけ動画マニュアル
    動画マニュアルの内容や入手先