食品への毛髪混入を防止するための粘着ローラー(コロコロ)

食品への毛髪混入を防止するための粘着ローラー(コロコロ)

毛髪が抜けて製品に入るにはどのような経路があるのでしょうか? 下図は経路の一部を推測したものですが、こうして見るだけでも様々な経路があります。そして頭皮からダイレクトに製品に入るのではなく、かなりの段階を経て製品に入ることがわかると思います。

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抜け毛の季節?

毛髪混入件数の推移を見て「◯月は抜け毛の時期なので特に注意するように」と製造担当の作業者に対して訓示するところもありますが「毛髪混入多発時期 = 抜け毛が多い時期」と単純ではないのです。

そもそも「抜け毛の多い季節というのは存在しない」と、抜け毛研究家の生沼研さんがデータを見せてくださったことがあります。自らの頭の抜け毛を日々カウントされていますが、抜け毛が多い月は年によって変わるため一定ではないとのことでした。

個人的推測にはなりますが、抜け毛の量は気温や日長時間ではなく、体調、睡眠時間、食事内容、喫煙、飲酒など様々な要因が抜け毛の本数に影響するので毎年同じ時期に抜け毛が増えるわけではないのだと思います。

そういう私も営業に言われて、報告書に科学的根拠の無いいい加減な報告書を書いたことがあります。「 明後日バイヤーのところに報告書持って行って『秋は動物の冬毛への生え変わりの時期と同じように抜け毛の季節やから、特に注意して対策するように工場に指示しました。』と報告するから。」と言うので、その方向で適当に報告書を作りました。

今から考えれば「この時期だけではなく、普段の時からちゃんと対策しろ!」とバイヤーに突き返されても仕方ない内容です。でも大学の先輩だったのもあり断りにくかったんですよね。突き返されなかったのは、流通側も毛髪混入に対しては半ば諦めがあるのかもしれません。

毛髪混入経路のどこを遮断すべきか?

話は戻り、セミナーなどでよく紹介される一歩進んだ毛髪混入対策(出勤前のシャンプー、帽子着用前のブラッシング)は本人の毛髪にだけ着目したものです。これでは下図のこの部分の経路しか遮断できません。

床掃除も同様です。

他の経路がたくさん残っているので毛髪混入対策が不十分であるのが視覚的にわかると思います。

例えば私服には本人以外の抜け毛が付く機会もたくさんあります。自分以外の抜け毛が私服に付着し、更衣室でハンガーに掛けた私服と作業服が交差することにより、作業服に私服に付着した本人や他人の抜け毛が移るパターンもあります。

本人の私服と作業服の接触だけでなく、他の人の作業服との接触で抜け毛が移ることもあります。作業服に着替えた人と出退勤の私服の人や帽子をかぶっていないスタッフ部門の人などとの接触もあります。すれ違うだけではなく、食堂や休憩室などで机や椅子を介して抜け毛が移ることもあるでしょう。クリーニング済みの作業服置き場で、他の人のクリーニング済みの作業服に抜け毛を落としてしまうこともあるでしょう。

また家に持ち帰って作業服を洗濯しているなら、洗濯槽や作業服をたたむ時に床から家族やペットの毛が移ることもあるでしょう。

クリーニング業者で洗濯してもらっていても、クリーニング工場の作業者が毛髪混入対策しているわけではないので、返ってきた作業服にクリーニング業者の抜け毛が付いていることもあるでしょう。

これらは一歩進んだ毛髪混入対策(出勤前のシャンプー、帽子着用前、床掃除)では遮断できません。

ではどこで遮断すればいいかと言うと、矢印が集まっているところです。その一点こそ「粘着ローラーがけ」なのです。

あれこれ対策するより、対策にかける労力をこの一点に集中させるべきです。

粘着ローラーがけを全員しっかりできるようになれば、毛髪混入は必ず減ります。私が担当したある製造委託先では製造委託品の毛髪混入が6件/年から翌年は1件/年になりました。他の委託先ではその会社で製造している商品全体の毛髪混入が前年の4分の1件になったとのことです。またセミナーで私の話を聞いてくださった食品メーカーでも、私がお伝えした方法を実施したところ60件/年あった毛髪混入が止まったそうです。

いずれの食品メーカーでも「まぁ、ゼロにはならへんやろけどちょっとでも減っってくれたらもうけもん」と思って、とりあえず取り組んでみたところ驚きの結果を出されました。

これからご紹介する毛髪混入対策法はお金はほとんどかかりません。誰でもどの規模の食品メーカーでも出来ることです。ただ、今まで徹底してやっていなかっただけです。

毛髪混入防止対策の記事一覧

番号順に読んでいただければわかりやすいかも知れません。

  1. 食品への異物混入苦情件
    やっぱり食品のクレームで一番多いのは毛髪混入でしょうと言う話
  2. 食品への毛髪混入と報告書
    報告書を書いたら全部終わった気になって、結局何の対策もしていなかったと言う反省
  3. 食品への一般的な毛髪混入防止対策
    どこの食品工場でもやっていそうな普通の毛髪混入防止対策
  4. 食品への更なる毛髪混入防止対策
    食品業界では推奨されているけど、大して効果がなさそうな毛髪混入防止対策
  5. 食品への毛髪混入経路
    作業服の中から落ちてくるのではなくて、作業服に付着した抜け毛が原因じゃないの?と言う話
  6. 食品への毛髪混入を防止するための粘着ローラー(コロコロ) ←今ココ
    やっぱり粘着ローラー(コロコロ)がけが一番だよね~ と言う話
  7. 食品工場に於ける粘着ローラー(コロコロ)がけの重要度
    毛髪を危害要因と考えたらどこをCCPに設定するか? 的な話
  8. 食品工場に於ける正しい粘着ローラー(コロコロ)がけとは?
    とりあえず自分の職場の現状把握をしてみましょうと言う話
  9. 毛髪混入を防止する正しい粘着ローラーがけ(コロコロ)の手順
    時間をかけて、地道に、着実に対策していかないと毛髪混入は減らせないよ〜 という話
  10. 食品への毛髪混入対策の検証
    クレーム件数による検証も必要だけど、まずは決められた対策を全員が確実に実施しているかを検証したほうがいいよ~ という話
  11. 食品への毛髪混入を防ぐ粘着ローラー(コロコロ)がけの教え方ポイント
    教え方のコツ
  12. 食品工場での新人教育 毛髪混入対策編
    ここだけは入社初日に教えたほうがいいと思うポイント
  13. 二人で行う粘着ローラー(コロコロ)がけ
    相対で行う場合の注意点
  14. 食品工場に設置すべき粘着ローラー(コロコロ)の本数は?
    粘着ローラー(コロコロ)がけのスペースと本数の話
  15. 毛髪混入防止対策に効果的な粘着ローラー(コロコロ)の形状は?
    粘着ローラー(コロコロ)のハードについての考察
  16. 食品工場入口で粘着ローラー(コロコロ)がけにかかる時間
    タイマーで管理している食品工場は毛髪混入が減らない言う話
  17. 粘着ローラー(コロコロ)がけの撮影方法
    現状把握のための録画するときのポイント
  18. その他
    毛髪関連カテゴリーの記事一覧
  19. 毛髪混入が前年比21%にまで減少した粘着ローラー(コロコロ)がけ動画マニュアル
    動画マニュアルの内容や入手先