食品への異物混入苦情件数

食品への異物混入苦情件数

このページを見つけてくださったあなたは「自分の工場の毛髪混入をなんとかしたい」とお考えではないでしょうか? 食品への毛髪混入は確実に減らすことができます。製造委託先の責任者とタッグを組み、試行錯誤を重ねて行き着いた毛髪混入防止策などをお伝えしていきます。

加工食品の苦情

加工食品の苦情は、おそらく異物混入が最も多く、中でも毛髪混入が最も多いものと思います。しかし社会全体でどんな苦情があるのか、各企業は公表していないので正確な数値は把握できません。

東京都福祉保健局によると異物混入は有症苦情と並んで多いことがわかります。さらに年度別の異物混入の内訳を見てみると虫の苦情が多く、次いで合成樹脂類、毛髪などの動物性異物となっています。不快感、不満度が高いものを行政に申し出る傾向がデータになっていると仮定すれば、ここにカウントされていない毛髪混入苦情はかなりの件数が発生しているのではないでしょうか。

私の感覚では、消費者が申し出る先はほとんどがお店かメーカーです。いきなり保健所のような行政に申し出る消費者は少ないと思われます。経験上 、消費者が保健所にお持ち込みになる場合というのは、食品メーカーなどに申し出たものの対応が悪くお怒りになった場合が多いように感じます。

お申し出は氷山の一角

直接や流通経由、時には行政経由でメーカーに消費者からのお申し出が届くのですが、実際に出た不具合の件数とお申し出の件数はイコールにはならないと言うことです。

気づかない消費者もいらっしゃるでしょうし、気がついたところでメーカーに連絡するのも嫌なくらいお怒りだったり、忙しいから申し出るのを諦めたり、お店に申し出てくださってもお店や中間の問屋さんで情報が止まってしまったりすることもあると思います。

「実際の件数 > お申し出件数」なのですが、一体どれくらい乖離があるのでしょうか? 私が以前勤めていたところでは、中国製冷凍餃子中毒事件が発生した2008年は2007年の倍のお申し出をいただきました。消費者の意識が高まったおかげで多くの方に商品の不具合を教えていただけるようになったのだと思います。

それでも教えていただけない不具合もあるはずですので、実際の件数は普段お申し出いただいている件数の数倍はあるのではないでしょうか。商品に不具合を発見したすべての消費者が「製造工程に不具合があったんじゃないですか?」と教えてくださるとは限らないと言うことです。

異物混入のお申し出の受け易さ

どんな食品を製造しているかも異物混入などに関してお申し出件数と関係があるように感じます。「うちはクレーム無いから」と高をくくっていても、単に消費者から教えていただけていないだけかもしれません。

統計を取ったわけではなくあくまで私感ですが、消費者からご連絡いただきやすい食品はこんな感じではないでしょうか?

パッケージ が透明

  • 開封前に気づくことができ、消費者が入れたものと疑われる心配が無い。
  • 紙(箱、カップ、パックなど)、アルミ蒸着、フタ付き発泡スチロールなど開封しないと中の様子がわからない食品は、お申し出が少ないように感じます。
    • メーカー側でお申し出を受けても開封済みのお申し出は「開封後に混入」で社内処理してしまい、製造工程の見直しにつながらないことも・・・

白いなど色が薄い食品

  • 異物が目立つので気づきやすい。
  • 色が濃い食品はあまりお申し出がないようです。
    • 醤油で煮込んだ惣菜からはほとんど出ないのに鶏皮の惣菜からだけ毛髪のお申し出があるので、原料の鶏皮が原因と推定している工場がありました。一緒に工程を調べたところ、製造工程に原因があることを納得してくださり、速やかに対策していただけたことがあります。

自分で消費する食品

  • お土産品のように人からの頂き物は、贈ってくれた方に万が一知れたら困るという心理が働くものと思われ、不具合を見つけてくださっても連絡いただける確率が下がります。
  • 頂き物ではなく自分で買って自分で消費するパターンだと連絡いただける確率が上がるようです。
  • 自分が買ってきたものに対して、ご家族の方が不具合に気づかれた時はご連絡いただけることが多いように感じます。

値引き商品

  • 理由はよくわかりませんが、値引き商品の不具合は消費者から割とご連絡いただける傾向があります。

メーカー側の視点からすると、消費者から商品の不具合を教えていただけることで管理の穴に気づくヒントになりますので、お申し出をいただくことは非常にありがたいことです。しかし消費者としては申し出たことにより「疑われるのではないか?」という心理が働き、100%ご連絡いただけないものと思われます。

「お申し出がない(少ない)から~」という食品メーカーは、隠れているお申し出に気づけていないだけなのかも知れません。と言ってもここにたどり着いた食品メーカーの方はこのことを十分に認識しているからこそ、このページを見つけてくださったのだと思います。

毛髪混入防止対策の記事一覧

番号順に読んでいただければわかりやすいかも知れません。

  1. 食品への異物混入苦情件 ←今ココ
    やっぱり食品のクレームで一番多いのは毛髪混入でしょうと言う話
  2. 食品への毛髪混入と報告書
    報告書を書いたら全部終わった気になって、結局何の対策もしていなかったと言う反省
  3. 食品工場の一般的な毛髪混入防止対策
    どこの食品工場でもやっていそうな普通の毛髪混入防止対策
  4. 食品工場が取り組んでいる更なる毛髪混入防止対策
    食品業界では推奨されているけど、大して効果がなさそうな毛髪混入防止対策
  5. 食品への毛髪混入経路
    作業服の中から落ちてくるのではなくて、作業服に付着した抜け毛が原因じゃないの?と言う話
  6. 食品への毛髪混入を防止するための粘着ローラー(コロコロ)
    やっぱり粘着ローラー(コロコロ)がけが一番だよね~ と言う話
  7. 食品工場に於ける粘着ローラー(コロコロ)がけの重要度
    毛髪を危害要因と考えたらどこをCCPに設定するか? 的な話
  8. 食品工場に於ける正しい粘着ローラー(コロコロ)がけとは?
    とりあえず自分の職場の現状把握をしてみましょうと言う話
  9. 毛髪混入を防止する正しい粘着ローラーがけ(コロコロ)の手順
    時間をかけて、地道に、着実に対策していかないと毛髪混入は減らせないよ〜 という話
  10. 食品への毛髪混入対策の検証
    クレーム件数による検証も必要だけど、まずは決められた対策を全員が確実に実施しているかを検証したほうがいいよ~ という話
  11. 食品への毛髪混入を防ぐ粘着ローラー(コロコロ)がけの教え方ポイント
    教え方のコツ
  12. 食品工場での新人教育 毛髪混入対策編
    ここだけは入社初日に教えたほうがいいと思うポイント
  13. 二人で行う粘着ローラー(コロコロ)がけ
    相対で行う場合の注意点
  14. 食品工場に設置すべき粘着ローラー(コロコロ)の本数は?
    粘着ローラー(コロコロ)がけのスペースと本数の話
  15. 毛髪混入防止対策に効果的な粘着ローラー(コロコロ)の形状は?
    粘着ローラー(コロコロ)のハードについての考察
  16. 食品工場入口で粘着ローラー(コロコロ)がけにかかる時間
    タイマーで管理している食品工場は毛髪混入が減らない言う話
  17. 粘着ローラー(コロコロ)がけの撮影方法
    現状把握のための録画するときのポイント
  18. その他
    毛髪関連カテゴリーの記事一覧
  19. 毛髪混入が前年比21%にまで減少した粘着ローラー(コロコロ)がけ動画マニュアル & オンラインセミナー
    動画マニュアルの内容と動画マニュアル付きオンラインセミナーのご案内