毛髪混入を防止する正しい粘着ローラーがけ(コロコロ)の手順

毛髪混入を防止する正しい粘着ローラーがけ(コロコロ)の手順

工場入口の粘着ローラーがけの様子を録画し、みんなで確認したら「えっ! こんなにできてへんもんなん?」と衝撃を受けることと思います。

録画チェックする際は基準が甘い人もいますので、もし自分が「みんなちゃんとできてるやん。どっこも悪いとこあらへんやん。」と感じたなら、ご自身がかなり大雑把な性格で、細かい点に気づくことが出来ていない可能性もあります。一緒に録画を見ている他の人がどう思ったかにも念のため耳を傾けてみましょう。細かく見ている人から意見が出るはずです。

録画した動画をみんなで確認すると・・・

大概の場合、「ここができてない」「ここは気をつけてかけてるようだ」「ここら辺は抜けている」「ここの部分は粗いな」「ここ当たってないな」などの声が製造から上がります。

そして同時に「この部位はこんな風にかけた方が上手くかけれるんとちゃうかな?」など建設的な声も上がり始めます。ああしたほうがいいのでは?、こうしたほうがいいのでは?、とたくさんアイデアが出てきます。

正しい粘着ローラーがけの手順

いろんなアイデアが出ると思いますが、まとめるとおそらく「正しい粘着ローラーがけの手順を教える」に行き着くと思います。しかし正しい粘着ローラーがけとはどういうかけ方なのか? いざ細かい点を追求していくとぼんやりしていて、人によって正しいと思っているかけ方にずれがあることに気づくはずです。

写真(イラスト)付き粘着ローラーがけマニュアルを掲示しているにもかかわらず、実際はかけ方は責任者同士でも統一されていないわけです。これでは作業者が正しく粘着ローラーがけできるはずがありません。

文字や写真では伝えきれないので、私は動画マニュアルを作成しました。この動画マニュアルの入手先はこのリンクを開いてみて下さい。必ずしも動画マニュアルを使わなくても大丈夫です。粘着ローラーがけの様子を撮った動画を見て、部位毎にうまい人を見つけてつなぎ合わせ、それをお手本にすれば良いだけです。

全身を一気に覚えるには量が多すぎるので、私が作成した動画マニュアルでは全身を15の部位に分けました。毎週1部位ずつ確実に覚えていけば、3ヶ月程度で覚えられる計算です。

まずはリーダーが動画マニュアルを見ながら正しい粘着ローラーがけを覚えましょう。そして覚えた部位を職場の作業者に教えます。朝礼などで実演しながら説明します。毎日同じことを繰り返して教えます。説明が終わったら、聞いている作業者の誰かをランダムに当てて、その部位を実演してもらうと真剣に聞くようになります。

間違っても食堂や休憩室のテレビで、動画マニュアルを再生しっぱなしにして、「おまえら見とけよ」、もしくは「作業の合間を見て、各自PCで動画を確認しておくように!」と指示して個人任せにしてはいけません。このような食品工場もありましたが、当然のことながら毛髪混入は減りませんでした。

本気で毛髪混入を減らしたいなら、リーダーが実演して教えることです。お金はかかりませんが、時間と労力と根気がかかります。しかしそれだけの価値はある対策です。今までこの方法を取り入れた食品工場でも最初は半信半疑でしたが、「なんかこの方法って効いているのかも?」と2~3ヶ月経った頃に効果を実感しはじめています。

粘着ローラーがけもスキルの一つ

ライン作業を新人に教える時は、見本をやって見せて、新人にやってもらい、コツをつかめていなければ再度詳しく教え、ちゃんと作業ができるように育てているはずです。

粘着ローラーがけも段階を追って少しずつ着実に覚えてもらえるように教えなければなりません。 初日に写真(イラスト)付き粘着ローラーがけマニュアルを指さして「ここに貼ってある写真(イラスト)の通りにするように!」と言っただけで、あとは個人任せになっていませんか?  粘着ローラーがけもスキルの一つなのです。

動画マニュアルを作ったきっかけ

私が担当していた製造委託先の責任者と初めて入口で動画を撮った時のことです。粘着ローラーがけの様子を録画して確認したものの、「現状が良くないのはわかったけど、これからいったいどうしよう?」と頭を悩ませることになりました。

するとたまたま製造委託先の社長が通りがかり「ほんなら今日からちょっとずつ教えていき。」と指示されたのです。と言うわけで、日々少しずつ粘着ローラーがけを教えていくことになりました。

しかしその後、人手不足と繁忙期が重なり、その製造委託先では訪問を受け入れてもらえませんでした。とりあえず電話で状況を確認していたのですが、毎回「ちゃんとローラーがけ教えていますか?」と聞くと「ちゃんとやっていますよ。」と返ってくるだけでした。

ある時ふと「自分が思っている『ちゃんと』と製造委託先が思っている『ちゃんと』って同じ意味なんやろか? こちらの『ちゃんと』がちゃんと伝わる伝え方してるんかな?」と疑問が頭に浮かびました。人によって「ちゃんと」は微妙に違うはず、どうしたら良いだろうと悩むことになりました。

「動画で伝えたら、両社の認識にギャップが少なくなるんじゃない?」と思いつき、早速Windowsムービーメーカーで動画マニュアルを作ったのでした。元々、品証時代に工場の監視カメラで入場の様子を観察して、いろいろ思うところがあったことが役立ちました。

毛髪混入防止対策の記事一覧

番号順に読んでいただければわかりやすいかも知れません。

  1. 食品への異物混入苦情件
    やっぱり食品のクレームで一番多いのは毛髪混入でしょうと言う話
  2. 食品への毛髪混入と報告書
    報告書を書いたら全部終わった気になって、結局何の対策もしていなかったと言う反省
  3. 食品工場の一般的な毛髪混入防止対策
    どこの食品工場でもやっていそうな普通の毛髪混入防止対策
  4. 食品工場が取り組んでいる更なる毛髪混入防止対策
    食品業界では推奨されているけど、大して効果がなさそうな毛髪混入防止対策
  5. 食品への毛髪混入経路
    作業服の中から落ちてくるのではなくて、作業服に付着した抜け毛が原因じゃないの?と言う話
  6. 食品への毛髪混入を防止するための粘着ローラー(コロコロ)
    やっぱり粘着ローラー(コロコロ)がけが一番だよね~ と言う話
  7. 食品工場に於ける粘着ローラー(コロコロ)がけの重要度
    毛髪を危害要因と考えたらどこをCCPに設定するか? 的な話
  8. 食品工場に於ける正しい粘着ローラー(コロコロ)がけとは?
    とりあえず自分の職場の現状把握をしてみましょうと言う話
  9. 毛髪混入を防止する正しい粘着ローラーがけ(コロコロ)の手順 ←今ココ
    時間をかけて、地道に、着実に対策していかないと毛髪混入は減らせないよ〜 という話
  10. 食品への毛髪混入対策の検証
    クレーム件数による検証も必要だけど、まずは決められた対策を全員が確実に実施しているかを検証したほうがいいよ~ という話
  11. 食品への毛髪混入を防ぐ粘着ローラー(コロコロ)がけの教え方ポイント
    教え方のコツ
  12. 食品工場での新人教育 毛髪混入対策編
    ここだけは入社初日に教えたほうがいいと思うポイント
  13. 二人で行う粘着ローラー(コロコロ)がけ
    相対で行う場合の注意点
  14. 食品工場に設置すべき粘着ローラー(コロコロ)の本数は?
    粘着ローラー(コロコロ)がけのスペースと本数の話
  15. 毛髪混入防止対策に効果的な粘着ローラー(コロコロ)の形状は?
    粘着ローラー(コロコロ)のハードについての考察
  16. 食品工場入口で粘着ローラー(コロコロ)がけにかかる時間
    タイマーで管理している食品工場は毛髪混入が減らない言う話
  17. 粘着ローラー(コロコロ)がけの撮影方法
    現状把握のための録画するときのポイント
  18. その他
    毛髪関連カテゴリーの記事一覧
  19. 毛髪混入が前年比21%にまで減少した粘着ローラー(コロコロ)がけ動画マニュアル & オンラインセミナー
    動画マニュアルの内容と動画マニュアル付きオンラインセミナーのご案内