毛髪検出器で食品への毛髪混入は防げるのか?
- 2019.05.12
- 毛髪混入防止対策
FOOMAなどの展示会に行くと毛髪検出器が紹介されていることがあります。金属検出器のようにベルトコンベア上に原料や製品を流し、近赤外線などを当て、その画像を解析して異常検知部分を排出する仕組みです。私も10年くらい前に初めて見ました。
その後、世界一受けたい授業などテレビ番組でも紹介されていましたが、私が訪れた工場では見たことがありません。最近の展示会でもお目にかかることがなくなったようにも思います。毛髪を検出するために開発したせっかくの技術が埋もれてしまったようで残念に思っています。
毛髪検出器が普及しなかった原因の推察
機械が高価
こちらのサイトやこちらのサイトを見ると1400万円/台となっています。金属検出器なら100万円/台くらいまでで買えることと比べるとかなり高価です。何ラインにも入れるとなると結構な支出になります。1ラインだけ入れるとしてもかなり利益率のある製品を製造しているラインにしか入れるのは難しそうです。
それにメンテナンスの費用もかかるでしょうから、食品メーカーとしてはちょっと手が出る値段ではなさそうです。
製品の表面の毛髪しか検出できない
光を当てて検出するので、表面しか検出できません。しかもカメラが付いている片側の面のみしかわかりません。製品内部に練り込まれた毛髪や底面に付着した毛髪は検出できずスルーしてしまいます。
展示会でも、干したアミエビに毛髪を混ぜてデモをしていました。一般的な抜け毛より短く、水分が少ないなどくっつきにくい製品に混ざっている毛髪を検出するには効果的かも知れません。米や豆、サプリメントの錠剤などでは効果がありそうです。しかし米や豆は風力選別やカラーセンサーをつかった検品機を通すので毛髪専用の検出器は出番がないでしょう。
一般的な加工食品は一口サイズでもそれなりの大きさがあるので、本当に表面の上側しかスクリーニングできないでしょう。それより小さくても水分を含んでいたり表面に粘りがあると製品同士がくっつくので完璧な検出は難しそうです。
毛髪検出器の開発技術をお持ちの方へ
原料や製品などの食品をスクリーニングしようとしていることがそもそも間違いではないでしょうか?
工場に入る作業者の作業服の表面を一瞬でスクリーニングする検知器を開発してもらえれば、1台/工場で済みます。これなら少し高くても導入に踏み切る工場は出てくるかもしれません。
毛髪混入の原因は、作業服表面に付着した抜け毛を作業者が取り除かずにそのまま製造ラインに持ち込んでいることが大きな原因と思われます。作業服表面の抜け毛を検出し、抜け毛を付着させた作業者をラインに入れないようにすれば大幅に毛髪混入が減るはずです。
現状ではかけ残しがないように粘着ローラーを全身に転がすしかありません。もし作業服表面の抜け毛を検出できる毛髪検出器が開発されれば、抜け毛が付着しているところだけ粘着ローラーを転がせば良いようになります。毎日の工場入場にかかる手間と時間が節約され毛髪混入も激減するはずなので、食品メーカーにとっては大きなコスト削減が実現されるはずです。
どなたか開発していただけると食品メーカーとしてはとても助かります。
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